レベル123 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたら騎士王に

ノーマルカードなら、なっていたかもしれません☆


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 次の瞬間、オレの目の前に光の奔流が集り始めた。

 どうやらスキル禁止が解けた模様。

 よし! ボスクラスのレアだ! しかも! クリスタルカードまで使ったんだ!


 きっといいものに違いない!


 と、期待を込めてカードを見やる。

 カードを使う前に確認している余裕なかったんだよな。

 一瞬見えたのは、何も変哲もない鎧ではあった。


 さすがにないよな?

 あれだけ苦労して、ただの鎧ってことはないよな?

 無いって言ってください!


 カードに描かれているイラスト、唯の鎧にしか見えない。


『パワードスーツ』

 ☆6・レベル1

 スキル:全パラメーター+

 備考:魔法無効(エリア)


 いいもの……なんだろうか?

 まあ、唯の鎧ではなかったようだが……

 パワードスーツ? コレ装備したら、力が上昇したり、素早さがアップしたりするのだろうか?


 というか鎧ならパワードアーマーじゃね?


 と、じっくり見てる余裕は無い。

 ボスを倒したとしてもまだ雑魚が残っている。

 ん? なにやらハーモアの体が光っているような。


 ハーモアの体が光のシルエットとなり、徐々にその大きさが膨張していく。


 光がはじけた後、そこには凛々しい猫獣人となったハーモアの姿が!


「猫じゃない! ライオンだって!」


 ああ、うん、ライオンだった。

 ハーモアの拳が鎧にぶち当たる。

 するとその鎧、壁の端まですっ飛んで行く。


 おおー、とオレ達三人が歓声を上げる。


 その歓声に応えるかのように力こぶを見せたハーモア、次々と鎧をブチ壊していく。

 ボスが居なくなった所為で鎧達も弱体化している模様。

 ん、お前もスキルが増えた? ほう、どんなんだ?


 サウの全身が光に包まれる、そして徐々に大きさが膨張していく。


 光がはじけた後、そこには美しくグラマラスなダークエルフとなったサウの姿が!


 おお……これぞ夢にまで見たエルフ。でかしたぞサウ!

 と、二人のカードを呼び出して裏面を確認したところ、


『ライオンハート・ハーモア』

 ☆5・レベル12

 スキル:獣人化


『ダークエルフ・サウ』

 ☆2・レベル10

 スキル:幻惑


 幻なんかい!

 おいサウ、からかうのはいい加減にしろ!

 ウッシッシと元の姿に戻って笑い掛けてくるサウ。


 まったくコイツは……


 ん、なにやらレリンちゃんがウンウン唸っている。

 えっ、自分にもスキルが?

 いやあ、それはどうかなあ……


『エルフ・レリン』

 ☆2・レベル7


 もう少しがんばりましょう。みたいな?


 と、その時、なにやら重々しい音がして壁が左右に開いていく。


 その先に現れたのは、ユーオリ様以下、神殿騎士団の皆様方。


「どうしてここにクイーズちゃんが……それに、これは一体何事……」


 ヤバイ! さっさと逃げ出しとくんだった!

 ユーオリ様の目の前には、粉々に砕けたダンジョンコア、を前にドラスレを持って佇む俺。

 そして部屋の中には貴重そうなブツが散乱している。

 どうみても事変でござる。


 とりあえず急いで三人をカードに戻す。


「え~とですね……森を探索していたらですね……」


 しどろもどろに成りながらも状況を説明するオレ。

 オレの説明を聞いたユーオリ様は、顔を真っ青にして神殿騎士団になにやら命じている。


「魔法が使えなかったって本当ですか!?」


 その後、竜王の間に連れて行かれて、さらに説明を求められることに。

 竜王ニースが腕を組んで、ウムムと唸っている。


「これほど広範囲に魔法やスキルが通用しない、又は通用しないように出来る。これは各国にとって、とんでもない事件となります」

「強力な魔法、スキルは勝敗を一瞬にして覆す。それをさらに覆す者となるか」

「いやでも、そのダンジョンコア、既に壊してしまった後ですし……」


 でもクイーズちゃんの話だと、外から中に入る仕掛けがあったのでしょ? と聞いてくる。

 仕掛けがある。という事はだ、その仕掛けを作った者が居る。という事にもなる。

 それが人であれ、知性を持ったモンスターであれ、あのダンジョンコアの存在は知っている事になる。


「すでに構造を解析されている可能性もあります」

「まあ、可能性は薄いであろうが……主が叩き割ったのは有る意味正解であったかもしれぬな」

「とりあえず欠片を調査してみようと思います」


 しかし、あのままほっといたら、いったいどうなっていたんだろうな。


「魔都サンムーンの再来であるな」


 そこへ、骸骨王ダンディが現れる。


「いくらなんでも、そんな事は起こり得ません」

「それはどうかな? 街全体がスキルと魔法を封じられ、ピクサスレーン並みの強力なモンスター達が現れたなら、ただでは済みますまい」


 竜王はアンデットドラゴンとなり、聖皇家は邪神教徒となる。そうなればもう、ここを取り戻す術は無い。と、骸骨は謡うように言う。

 いや骸骨、そもそもオレ達があのダンジョンコアを持ち込まなければ起こらなかった事じゃね?

 って言おうとしたら骸骨にゲシッと足を蹴られた。またなんか企んでるなコイツ……

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