レベル122
はてさて、コイツでどこまでやれるか?
魔都サンムーンのダンジョンコアがここにあるって事は、あいつらきっとアンデッド枠だよな? カシュアが居れば良かったんだが……
まあドラスレがあるだけマシか。
「下がってろ!」
「で、でも!」
ちょっと今回の敵はやっかいなんでな。
たぶんドラスレ以外はダメージにならないだろう。
とりあえず一匹ずつ……と思った瞬間だった!
突如炎の魔法がこっちへ向かって飛んでくる!
「ばかなっ! 魔法!?」
王座に座っている鎧が丸い宝玉を掲げている。魔道具か!?
とっさにドラスレで受け止めるが、大きく弾き吹き飛ばされてしまう。
「クイーズ!」
「お兄ちゃん!」
「来るなっ!」
部屋に居た鎧達が一斉に襲いかかってくる。
と、サウが先頭に居た奴に思いっきり体当たりをする。
バランスを崩して何体かを巻き込んで転がる鎧共。
「ナイスだサウ!」
「ウイ!」
オレは向かってくる鎧を斬り捨てる。
「ハー達だって戦えるんだ! それにあんたがやられたら最悪だろ!?」
「うん! うん!」
続けてハーモアとレリンも駆け寄って来る。
「……そうだな! じゃあ牽制は任せたぞ!」
「おう!」
ハーモアが鎧に向かって飛び蹴りを入れた。
レリンは短剣をいくつか取りだし、投擲の構えに入る。
サウの奴は、王座に居る魔道具を持った鎧に向かって上空から石を投げている。
魔道具から炎が迸るが、サウは器用に避けている。
「かって~なコイツ等! 黒い霧の部分は突き抜けるし!」
「ダメージを与えようとするな。蹴り飛ばす感じで牽制してくれればいい。後はオレがなんとかする!」
「分かった!」
ハーモアが蹴り飛ばして薄くなった場所に飛び込み、ドラスレで一閃する。
さすがはドラスレ、いい切れ味だ。手応えが無いぐらい簡単に切り伏せていく。
このまま一気に……あのボスをやるか!
「これを! くらいなさい!」
レリンが部屋の隅にあった、ボスが持っている物と同じような宝玉を手にする。
するとだ! そこから前方の空間が凍り始めた! こっちは凍結の魔道具か!
一瞬にして目の前の鎧達が凍りつく。
チャンスだ!
それを見たボスに大きく隙が生じている。
素早く駆け寄って、宝玉を持っている右手に向かって切り上げる。
ポーンと高く跳ね上がる右手。
すぐさま本体から黒い霧が右手に向かい引き寄せる。
だが!
落としていってるぜ! 魔法の球!
空から落ちてきた球をキャッチしたオレは、すぐさまそれを王座の鎧に向ける。
そしてありったけの威力で魔法を打ち出す。オレはあんたみたいに加減はしねえぜ!
その魔法の直撃により、王座から吹き飛ばされて後方の壁にぶち当たる鎧騎士。
そのうちバリンと弾けとぶ魔法の球。
全開で撃つとあまり持たなかった模様。
「レリン! そいつを貸してくれ!」
「はいっ!」
寄ってくる鎧共を切り伏せながら、今度はレリンが投げてくれた魔法の球を受け取る。
おうおう、熱いだろ? 今すぐ冷やしてやるぜ!
しかし、行く場も撃たないうちに、またもや弾けとぶ。脆過ぎだろこの宝玉。
熱するより冷やすほうが高いエネルギーが必要だったのか?
すかさずオレはドラスレで斬りかかったのだが、鎧騎士から黒き霧が触手のように突きだして来て、体に絡み付かれてしまう。
なんとかドラスレで振り払おうともがくか、ビクともしない。
しかし! 伏兵サウが鎧騎士の頭の上から大きな花瓶の様な物を投げ落とす。
ガシャンと大きな音を立ててふら付く鎧騎士。瞬間、拘束も緩んだ!
「いけっ! ドラゴンスレイヤー!」
オレはその鎧騎士に向かってドラスレを投げ飛ばした!
狙いたがわず、そいつは鎧騎士を壁に串刺しにする。
鎧騎士から悲鳴のようなものが響き渡る。
「くっそ、まだ死なないのか?」
しかし、それでもなお鎧騎士は剣を抜こうともがいている。
依然、黒い霧はオレの胴体に巻き付いて近寄れない。
後ろを見ると、ハーモアの奴もおされてレリンと一緒に壁際まで追いやれている。
仕方ない。こっちも虎の子の魔道具、使わせてもらいましょうか。
『モンスタークリスタルカード!』
魔法もスキルも禁止されている。だが、魔道具なら使える。
ならばこのクリスタルカードはどうだ!
スキルによってカードを取り出せなくても、すでに持っているカードなら利用可能ではないか!
ただまあ、これがクラスチェンジ以外でも使用できるかは賭けであったが。
だがその賭けにオレは勝った様だ。
クリスタルカードから放たれるまばゆい光!
その光を浴びて、オレを拘束していた黒い霧が消える。
後ろの鎧達も光を恐れて後ずさっているようだ。
徐々に姿を消していく鎧騎士。最後に光の粒となって四散する。
そしてオレの目の前に光の奔流が! ……奔流が…………出ない!?
ああ、そうか、スキル禁止にされているからカードが出ない理由だ。
オレは壁にささったドラスレの元に駆け寄りそいつを引き抜く。
「こんなもんがあるから困った事になるんだよな」
そしてオレは大きく振りかぶって、目の前のダンジョンコアを真っ二つにするのであった。
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