レベル79 ☆

「ドラゴンナイトですか」


 ラピスが、ロリドラゴンが置いて行ったドラスレらしき剣を手に持って眺めている。

 あいつ武器置いて行ったんだが大丈夫なのだろうか?


「まあ元々素手で戦っているようですし問題ないでしょう」


 ブンブンと剣を振り回すラピス。

 どうやらこっちの剣は普通に持てる重さの様子。


「いえ、重量軽減無しだと結構な重さになりますよ。しかし、凄い切れ味ですね」


 そう言いながら岩を真っ二つにする。

 いいなソレ! しかし、鞘が無いのが困ったな。

 そんな切れ味の剣、抜き身で置いておくには危険過ぎる。


「これで斬れない鞘なんて出来るんでしょうかね?」

「確かに……」

「鎖か何かで柄に巻き付けて吊るしておくしかないですね」

「そうだなあ……あっ、岩にブッさして持ち歩くとか」


 岩が邪魔でしょ? ってラピスが言う。その通りでございますね。


「さて、カードが増えた訳ですが……どうしましょうかね?」


 ロリドラゴンが20レベルになったのでカードが一枚増えた。

 そして少し前に、合計レベル120でもワンアップしている。


「どうしたもんかなあ……」


 なので今、オレの手元には2枚の無地のカードがある。


『ラピス・オブ・アイリスブラッド』

 ☆7・レベル31

 スキル:超繁殖→聖母、カード統率+

 備考:モンスターカード+1


『ドラゴンナイト・ロゥリ』

 ☆10・レベル20

 スキル:重量軽減、擬態+

 備考:竜種特効、モンスターカード+1


『メタルスライム・スラミィ』

 ☆2・レベル22

 スキル:擬態+

 備考:モンスターカード+1


『プリンセスナイト・カシュア』

 ☆7・レベル24

 スキル:未来予見+、聖剣の担い手

 備考:天敵・オーク、アンデッド特効、モンスターカード+1


『マンドラゴラ・ギター』

 ☆7・レベル11

 スキル:オート演奏


『骸骨王・ダンディ』

 ☆8・レベル1

 スキル:天啓(使用不可)


『お料理セット』

 ☆4・レベル7

 スキル:オート料理


『鉱石M』

 ☆1・レベル3


『グランドピアノ』

 ☆9・レベル11

 スキル:擬態


 初期3枚+20レベルで増えた4枚+合計レベルの5枚、総カード数は12枚。

 ただし骸骨で2枚使ったので、手元には11枚。

 このうち使用済みは9枚で、未使用が2枚だ。


「あと10レベルで合計レベルも140になり、もう一枚増えそうな感じですね」


 もうカードには頼らないでおこうって思ったとたん増えだす現状。

 これも一つの、物欲センサーのなせる業なのだろうか?

 骸骨みたいに強力なモンスターを2枚重ねで使うか……


「まあしかし、今後もモンスターを増やしていくなら、早めに使ってしまった方がいいんじゃないかね!」


 カシュアがポテチをパリパリ食べながらそう言ってくる。

 ええい、くっつくな! 最近なんだか近いぞお前。

 骸骨はいやだ、骸骨だけはカンベン、って言いながら擦り寄ってくる。

 だから寄って来るなって言ってるだろ!


「あだだだ、頭が割れるよ!」


 オレはアイアンクローをかましながらカシュアを遠ざける。

 くっそ、見た目だけなら美少女なんだよなコイツ。

 万が一グラッと来たらどうしてくれる。


「ん? お坊ちゃま、なんか骸骨が至急来て欲しいと言っているようですよ」

「ボクは行かないからね!」


 ふむ?


「ヘルクヘンセンで何かあったのか?」

「その辺りは向こうでお話しますとの事です」

「また問題事じゃないだろうな……」


 そうして向かったヘルクヘンセンの王城。


「不満のある貴族共が集まって亡命、兵を起こしただって?」


 それは新たな戦いの火蓋の幕開けであった。

 どうやら、元ヘルクヘンセンの友好国へ、現状に不満のある貴族共が集まって泣きついたとの事。

 ならば手をかしまひょ、って事で、元友好国が集まってヘルクヘンセンに開戦を突き付けてきたそうな。


「その不満がある貴族ってクーデター起こした奴らが中心なんだろ?」

「そうでございますな」

「だったら王族に先に反逆したの奴らじゃね」


 そんな事は、今回開戦してきた国々にとっては些細な問題なんでしょうな。と嘯く骸骨。

 最初からこの国が目当て、だという事か?


「この国、ヘルクヘンセンは有る意味、我が国ピクサスレーンにとっての緩衝地帯であったのですよ」


 骸骨の話では、強力なモンスターの素材の取れるピクサスレーンの領地は、ヘルクヘンセンに留まらず、他国からも喉から手が出るほど欲しい場所であるそうな。

 それで方々の国々は、ヘルクヘンセンに協力するという立場で様々な便宜を図ってきたようだ。

 ヘルクヘンセンがピクサスレーンを占領後は、その領地のいくらかを貰う受けるという証文まで出てきた始末。


「そのヘルクヘンセンが事実上無くなりましたからな。実力行使に出る事にしたのであろう」

「随分落ちついて居るな骸骨。周りの国が全部敵に回ったって言うのに……」


 しかもおめえ、幾つかお前の作った新兵器を持ち出しているそうじゃねえか。


「その件に関しては案じる事はありますまい。自爆装置を設けておりましてな、むしろ爆弾を自陣に持ち込んだような物ですな」


 なるほど、トロイの木馬作戦か。

 随分手際がいいんじゃねえか。まるで、この結果が見えてたかのような感じだな、ええ。

 骸骨が肩をすくめる。


「もちろん、予想していなかった訳ではない。だが、これは幾つか想定していた内の一つでしかない。全てに事前に手を打つことは不可能で有るぞ」

「そうなるように仕向けた訳ではないんだな?」

「どうせ結果が同じになるなら、なるべく有利な状況にしておくのは定石であろう?」


 この骸骨……

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