レベル78
あれ以来、姫様は城に篭ってしまわれた。
なんでもあのグリフォン、毛色が違うのが原因か群れから捨てられていたらしい。
そして人間に拾われたのだが、非常に珍しい種だという事で、ちやほやされて天狗になっていたようだ。
グリフォンを騎獣として育てる場合は、幼少から厳しく躾を行い、人間に絶対服従を染み込ませる。
尚且つ、仲間のグリフォンとは協調性を持たす為に、少なくとも2体以上同時に飼育する。
しかしあ奴、仲間であるグリフォンには敵愾心を抱き、人間はバカにして相手にしない。
完全に騎獣としては役に立たない状態。
もっとも、育てた方としては騎獣にする気はなく、愛玩用として売るつもりだった模様。
だが姫様は諦めない。彼女の辞書に敗走の2文字は存在しない。
何がなんでも乗れるようになるまでグリフォンから離れない。そう言って城へ帰って行った。
大丈夫だろうか? こっちは平和になったからいいけど。
と、思っていたらまたしても呼び出しがかかる。
「姫様が獣舎から出てきません。なんとかして頂けませんでしょうか?」
姫様、グリフォンと自分を影でグルグル巻きに縛り付けて候。
えっ、食事もトイレもあの状態で? すげ~……執念を感じる。
まあ、いいんじゃないですか?
動物と仲良くなるには、動物と同じ場所、同じ目線で過ごすのが一番だといいますし。
あと、オレそろそろこの国出た方がいいですかね? あの執念、次はオレに向くんですよね?
頑張ってくれグリフォン! オレの平和はお前に掛かっている!
大丈夫! 姫様ならきっとやり遂げてくれる! だから皆も見守ってやるんだ! なんて無責任な事を言って帰らしてもらう。
出来るかぎり大丈夫じゃありませんように……
「ガウッ、オオモノ、ゲットダゼ!」
そして店に帰り着いたら、ロリドラゴンがピッチピチなお魚さんを捕って来ていた。10メーターはあろうほどの巨大魚を。
おめえ、いったい何処から捕ってきたの? えっ、海まで行ってきた? 良く運んで来れたな。
魚が跳ねる度に地響きがしている。どうやって捌こうか……
お料理セットを持ってきたところ、巨大なまな板と3メーターほどの包丁に変化した。
もうこの包丁、普通に剣として使えんじゃね?
とりあえずそれで頭を落としたところ、急に一枚のカードが光始めた。
どうやらロリドラゴンが20レベルに達した模様。お魚さんの経験値、結構な量だったご様子。
同時にロリドラゴンの全身を光が包み込む。
しかし……やけに輝くな。まぶし過ぎて直視が出来ない。さすが最高レア種、光の奔流が辺りを支配する。
ん? なんかロリドラゴンの奴、大きくなってないか?
光に包まれたロリドラゴンが大きく膨張している気がする。
そしてその光が一瞬にして弾け飛ぶ!
その後に現れたものは――――腰まで届く長い金色の髪、巨大な抜き身の長剣、少々頼りなさそうな黄金の鎧。
そしてそして! 申し訳程度に付いている、ひっじょーに布面積が少ない衣服。
いや、衣服と言っていいのだろうかアレ……大事な所にうろこ状の何かが張り付いている程度。
そう、そこに居たのは、ラピスなんか目じゃないぐらいとんでもなくエロいお姉さんの登場であった。
おお……ロリからお姉さんキャラか……斬新だな。うん、目の保養でございます。
何々……ドラゴンナイト、ですか。
カードのドラゴンスレイヤーの名前がドラゴンナイトに変更されている。
おっ、なんか擬態も+が生えているな。
こんなお姉さんなら、少々噛みつかれても全然痛くも痒くもない! むしろバッチ来いって感じッス!
――ガブリ!
「いだだだ! やめろっ、なんでおめえ、元のロリに戻るんだよ!」
「ガウガウ、ナンカ、ムカツク」
ええい! 噛みつくならお姉さんになってからにしろ!
このドラゴン、元のロリキャラに変身してから噛み付いてくる。
面積が違うだろ! えっ、+がついて面積無視出来るようになった? そんな+はいらねえぇええ!
「なにしてるのクイーズ」
そこへエクサリーさんが登場。ニヤリと笑うロリドラゴン。あっ、嫌なヤカン。
ロリドラゴンがエクサリーの元へ走っていく。おい、ちょっと待て、何する気だ!?
そのドラゴン、エクサリーの手前で元のドラゴンナイトのお姉さんに戻りエクサリーにしがみ付いた。
「えっ、……!? どうしたのそれ!」
「クイーズガ、コノスガタデ、ダキツケッテイウ」
おお、おおお、おまっなんて事を!
エクサリーの顔が驚愕から、だんだん仁王様の様に変わっていく。
エロドラゴン、今の現状、一旦ロリに戻って再度お姉さんになったので、鎧もうろこも取れてござい。すなわちまっぱ!
「本当に言ったの?」
「えっ、いや、その……言ったような……言わなかったような……」
ごっ、誤解! 誤解なんですよっ! ヒィイイイ!
エロドラゴンがこっちを見て舌を出している。このクソドラゴン! 後で覚えとけよっ!
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