レベル70
「本当に、こんな女・子供だけでこのダンジョンに挑戦するのか? 自殺行為だろ」
あれから数日して、あっ、なんかいい事思いつきました。みたいないい顔でラピスが言ってくる。
「ロリドラゴンのレベル上げにダンジョンに行きましょう!」
結局あのおっさん、店の前でテント張ろうとするので仕方なく下宿させる事にした。
本人も、とりあえず護衛しているフリだけでもしないとならないらしい。
宮仕えも楽じゃないな。
それを見たラピスが何か思いついたようで、
「どうせ居るなら有効活用しましょう」
なんて事を言う。
「俺を当てにしているならお門違いだぜ? 俺の仕事はあくまで護衛、だからな」
「ええ、ですから今回は、ロゥリとお坊ちゃまのツートップで攻める事にします。だったら、あなたも守らなくちゃならないでしょ?」
しぶい顔でラピスを見つめるおっさん。
というか、オレとロリドラゴンが前衛? おいそれ、モンスターより先にロリドラゴンにやられそうな気がするんだが?
「いいから仕事しろよおっさん」
そんな顔を向けてくるおっさんに毒づくラピス。
ラピスもたいがい酷いな。
そのおっさんは一つ大きなため息を吐くと、
「分かった、分かったから、もうちょっとランク落とそうぜ? ここだと、コイツはともかくお嬢ちゃん達まで守る余裕はねえぜ」
「…………守ってもらう必要はない」
「失礼ですよ! 逆に私達があなたを守るほうなんですから」
サヤラとアポロがプリプリ怒っている。
「そうですね、まずは私達の実力を見てもらいましょうか」
ラピスがそう言ってダンジョンに入っていく。
本日のダンジョンは亡国の遺跡。
遥か昔、この国と同じように開拓しようとして失敗した王国の成れの果て。
この辺りでも上級者向けのダンジョンである。
モンスターの集団を見つけると同時にティニーのライフルが火を吹く。
はるか遠くで爆発音が響く。
それに耐えて近づいて来たモンスターに、サヤラの短銃とアポロの魔法が立て続けにダメージを与えていく。
それで弱った奴をオレがお片付け。
全てを避けきった素早い奴をラピスが始末する。
カシュアはボーと警戒しているだけだ。……あいつ、ホントに警戒してんだろうか?
ボウリックの目が点になっている。
「さすがに硬いッスね。こんなに寄って来られるとは思わなかったッス」
「確かに少々厳しいですね。お坊ちゃまに何かあっては困ります。仕方ありません、ランク下げますか」
「イヤイヤイヤ! 余裕だっただろお前ら! どうなってんの!?」
いや、普段はオレが出るまでもなく大抵が片付く。
「待て待て待て、いや待てよ……俺は大変な勘違いをしているのか? そ、そうだよな、あの魔都サンムーンを無傷で抜けて来たんだ。コレくらいは余裕って事か……」
無傷で抜けるどころか、制覇してきましたよそのダンジョン。
ちなみに魔都サンムーンが開放された事はまだ秘密にされている。
知って居るのはオレとカユサル、ぐらいか? 骸骨がしゃべっていなければな。
「ガウガウ!」
えっ、自分の見せ場がなかった?
そう言うな、コレからお前には頑張ってもらう。
「ガウ!」
またもモンスターが現れる。
よし、お前の力を見せてやれ!
「GO! ロゥリ!」
「ガウゥゥウウン!」
「おっ、おまっ、そんなちっちゃな子に何一人で突撃させてんの! 鬼畜かよ!」
さすがに一人では無理か……あちこち齧られている。
「とはいえ、肉弾戦しているから援護しにくいんだよなアイツ。動きもトリッキーだし」
「何悠長に見てるの! 死んじゃうだろアイツ!」
いや、アレぐらいでは傷一つ付けられない。元がドラスレだからな。
オレの護衛しかしないと言いながら駆け出していくボウリックさん。意外といい人だな。モヒカンの癖に。
オレの時は即効見捨てたというのにな。もしかしてロリコンかな?
二人でなんとかモンスターを倒しきる。
「おい、大丈夫か!?」
「モンダイナイ」
ふうむ……服がボロボロだな。もう素っ裸でいいか。
「ほら次来たぞ、GO! ロゥリ!」
「ガウゥゥウウン!」
「待て、待てって、ちょっとお前、鬼畜にも程があるだろぉおお!」
だってアイツ喜んで居るよ?
ほら、嬉々として戦っている。
ドラゴンの闘争本能丸出しだな。
「いやクイーズさん、その絵面はヤバ過ぎッス」
「…………なんか可哀想」
「せめて援護しましょうよ」
仕方ないオレも戦うか。
――ガチンッ!
ウォッ! あぶねっ!
てめえ! なんでオレに食いつこうとする!
えっ、間違えた? ほんとかよ!? 絶対信じられねえ!
いだっ、いだだ! だからそれはオレの足だっつってんだろ!
「クイーズさんも有る意味すごいっすね~。ロゥリとモンスターの両方を相手にして負けてないッス」
「…………ポッ」
「お坊ちゃま……ほんと、お強くなられて……ホロリ」
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