レベル68 ☆

「しばらくはカードも増えそうに無いですねぇ」


 ラピスが諦めたように呟く。


「いや予想外すぎるわコレ。もうコイツに期待はしないほうがいいかも知れない」


 現在の状況、


『ラピス・オブ・アイリスブラッド』

 ☆7・レベル30

 スキル:超繁殖→聖母、カード統率+

 備考:モンスターカード+1


『ドラゴンスレイヤー・ロゥリ』

 ☆10・レベル13

 スキル:重量軽減、擬態

 備考:竜種特効


『メタルスライム・スラミィ』

 ☆2・レベル21

 スキル:擬態+

 備考:モンスターカード+1


『プリンセスナイト・カシュア』

 ☆7・レベル23

 スキル:未来予見+、聖剣の担い手

 備考:天敵・オーク、アンデッド特効、モンスターカード+1


『マンドラゴラ・ギター』

 ☆7・レベル9

 スキル:オート演奏


『骸骨王・ダンディ』

 ☆8・レベル1

 スキル:天啓(使用不可)


『お料理セット』

 ☆4・レベル3

 スキル:オート料理


『鉱石M』

 ☆1・レベル1


『グランドピアノ』

 ☆9・レベル1


 合計レベルは102だ。


「おいカシュア、全然レベル上がって無いぞ」

「そんな事言われてもねぇ……ボクが戦う場面は少ないからね!」


 オレ達の現在の陣形は、


 通常はアポロ達三人が削りながら、近寄って来たモンスターをオレとラピスで討伐。

 カシュアは後方確認と遊撃だ。

 ボスや強敵には、カシュアの守りを中心とした陣形で、ティニーとアポロが遠距離攻撃、ラピスがメインアタッカー。オレとサヤラが遊撃と警戒を行う。


「聖剣もアンデッド以外には普通の剣だからね! おっと普通じゃないな、少なくとも王家の宝剣より切れ味はいい」


 その宝剣は丁重に王家に返品した。持ってると災いを呼びそうだったし。


「今の陣形が最も効率的ですしねぇ……」

「どのみち、カシュアのレベルを上げてもカードが増えるのは当分先になる」


 20レベルに一番近いのはロゥリか。

 あと鉱石、どうやったらレベルが上がるのだろうか?

 召喚してブン投げればいいのか? 今度試して見るか。


「3連発でハズレですからね。お坊ちゃまってガチャ運って悪い方だったんですか?」

「お料理セットは有る意味当たりだろ?」


 皆うまいうまいってお世話になっているじゃないか。


「当たりと言えば、スラミィは大当たりでしたね……まさかあんなに強くなるとは」

「凄かったね! 物理一辺倒ってのがあれだけど」

「ガウガウ!」


 えっ、自分も+つけば出来るようになるかだって? どうだろうな……スラミィみたいに軟体じゃないからちょっと厳しいかもしれない。


「ダンディにも事務方ばかりではなく、多少はレベル上げさしてはどうでしょうか?」

「そうだなあ……いやでも、今あいつが居ないとあの国回らないからな」

「一日中ギターを弾いていればレベルも上がるんじゃないかな!」


 無茶言うなよ。オレは生身の人間だぞ。指が死ぬわ。

 となると、やっぱこのロリドラゴンに頑張ってもらうしかないか。

 オレはロゥリの方に手を伸ばす。


 ――ガチンッ!


 ウォッ! あぶなっ!

 こんのクソドラゴン! お前の口などこうしてくれる!


「フガ! フガガガ!」

「いで! いででで!」

「ちょっと二人とも、じゃれあってないで真剣に考えてくださいよ」

「「ジャレアッテナイ!」」


 はいはい、とラピスが呆れたように言う。

 ほんとコイツ言う事聞かないし、ダンジョン連れて行って大丈夫なのだろうか?

 今はレベルが低いが、ここはお料理セットに期待した方がいいかもしれない。


 ライブハウスをちょっと改良して食堂を作る予定だ。

 それが出来れば朝から晩までずっと使う事になるし、レベルの上がりも早いだろう。


 えっ、だったらギターも貸し出しすればいいじゃないかだって? いやさすがに、自分の楽器を知らない人に預けるのは気がひける。

 オート演奏も。知らない人が使えばどんな影響を及ぼすか分からないし。

 どうしても急ぐとなった時には考えるか。


「クイーズさん、お客さんですよ」


 その時、サヤラが部屋に入って来てそう言う。

 なんでも王家から人が尋ねて来ているんだと。

 今度は一体なんなんだよ?


「えっ、オレの護衛をしてくれる?」


 その人物は、カユサルからじきじきに指示されて訪れた、オレの護衛役であった。

 というかこの人、以前、王子時代のカシュアの宮廷に居た人じゃね?

 ほら、魔都サンムーンに飛ばされた時、結構な掘り出し物の装備をくれた人。


「ほんと高かったんだからなソレ」


 オレの鎧を指差して言う。

 いやあコレには随分お世話になっていますわぁ。

 いやしかし、なんで今更護衛? えっ、公爵家なのに護衛の一人も付けないのはおかしい?

 そういやオレ、公爵の位、貰ったんだっけ。


「それでは行きましょうか」

「えっ、どこへ?」

「カユサル様が結構な豪邸を用意してくれてますから。カシュア王子の別宅を改装した場所ですがね」


 いや、行かないよ?


「カシュア、お前だけでも戻っとくか?」

「何言ってるの! もうあんな所戻りたくないよ!」


 だそうです。


「それでは俺が困るんだが……」

「いらないし、行かないし。そもそも護衛も必要無いんだけど……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る