レベル21
とりあえずオレは現在の状況をラピスに説明する。
「なんだか大変な事になっていますねえ」
「まあ、オレとお前がいれば、なんとかなるとは思うのだが」
ラピスはこんな見た目だが、レベル19は伊達ではなく、ベテランの冒険者並みの実力を持つ。
そしてオレも、剣の型は貴族時代に叩き込まれたし、10歳からラピスと共に草原でモンスター退治。
12歳からはパーティを組んで、森やダンジョンで実戦を積んでいる。
同い年であれば、大抵の冒険者に引けはとらないと自負している。
問題はこの王子様な訳なんだが。
「見捨てて行ったらダメなんですか?」
「なんの為にオレが残ったのか、意味が無いだろ?」
とりあえずは水と食料だな。
ラピスは簡単な魔法を使う事が出来る。
知能を上げまくったおかげだな。
それで水はなんとかなるとして、問題は食料か。
「アンデッドの街って事は、ここで手に入る物で食材にするには危険がありますね」
「お前はいいよな。カードに戻って再召喚したら空腹がいえるんだから」
「すぐにでもこの街を脱出して、森で狩りを行うしかありませんね」
オレは王子様にこの街の状況を聞いてみる。
「街は迷路のように入り組んでいる。空を飛べれば、楽だろうが……地上のモンスターからは丸見えになってしまうので、攻撃され放題だ」
なるほど、上は空いている訳か……
オレはコンコンと壁を叩いてみる。
この壁、ぶっ壊しながら進めないかな? ボロボロで今にも崩れそうではあるのだが。
「それにはダンジョンコアを抜く必要がありますね。そうすれば一気に壁は脆くなるでしょう」
「確かここからコアがある部屋は近いのだったか……」
「イヤイヤ、無理だよ!? コアの部屋には強力なボスモンスターが存在する」
王冠をかぶった骸骨戦士がいるらしく、それが滅法強いんだとか。
その昔、千を超える兵士を送り込んだが、簡単に返り打ちにされたとか。
「君のその、スキル、でなんとかなるというのなら話は別だろうが」
無理でしょうね。仮に空きがあったとしても、その骸骨戦士のヒットポイントを削るにはオレとラピスだけでは無理がある。
「行くだけ行って見るのもいいかもしれません。コアを奪えないでも、傷一つでも付けられれば暫くの間ダンジョンが脆くなります」
そして何気なく、部屋に入ってきたネズミらしきものを剣でプチッとするラピス。
その時だった!
突然ラピスの虹色のカードが浮かび上がり輝きだす!
光が収まった後に残ったのは――――バージョンアップしたラピスのモンスターカードであった。
まず見た目が変わっている。
今まで網タイツに黒のレオタード一枚だったのが、
首と手に、バニーな定番である、蝶ネクタイとカフスがされている。虹色の。
そして、お腹と背中の部分がメッシュになっていてスケスケ。
縦に虹色に輝くラインがいくつか入っている。光ってございます。
心なしかハイレグの角度が上がっていて、胸の露出も増えた気がする。
そして右手にはステッキのような細長い棒が。
左手にはトランプを持っていたりもした。
「「………………」」
オレとラピスは無言で顔を見合わせている。
「お坊ちゃま……なんなんですかコレは?」
「いやオレに聞かれてもな。しかし……エロいな……」
そう、益々エロさがアップしていたのである。
「きっきっき、きみぃいい! いくらなんでもコレはやりすぎだろうぉおお!」
そんな事言って喜んでません? 王子様。
「せめてこの光っているのなんとかなりません? 体のラインが丸見えどころか、目立ってしょうがありません」
「いやだから、オレに言われてもなぁ……」
いや、意外と使えるんじゃないか。ほら、暗い部屋が明るくなった。
「わたしゃ、ランタンですか!」
どうやらラピスのレベルが上がった模様。
カードの表示が20レベルになっている。
20レベルになると進化するのか。さすがモンスターカード。いや目の保養でございますな。
おっ、ボーナスポイントも倍ぐらいあるな。よし、今度は知能以外にも。
と、思っていたところ、隣に来たラピスが全額知能に振りやがる。
「ちょっ、おまっ、つって、なんで操作出来てるのぉ?」
「ほら、スキル欄にカード統率ってのが増えているじゃないですか。たぶんコレ、お坊ちゃまの代わりにモンスターカードを操作出来るんだと思います」
えっ、ソレは何? お前がカードのリーダー的役割を持つって事?
「そうではないかと」
まあ一番最初にゲットしたモンスターだしな。
ずっと出しっぱなしなので、一番良く使っていると言えないことも無い。
「それよりココ、見てください」
ラピスがカードの一番下の、空白で何も表示されていなかった場所を指差す。
む、こっ、コレは!?
そこには――――モンスターカード+1と書かれていたのだった。
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