レベル2
「呼ばれた理由は分かっているな?」
「はい……」
そりゃもう、封印解除の間でもずっと睨まれていましたから。
「とんだ恥をかかせてくれたものだな」
この人はオレの父親で、なんと、この国の公爵閣下、大層偉い御仁である。
そんな家の長男として生まれたオレ。
そりゃもう調子に乗る訳です、ハイ。
「勘当だ、出て行け」
それだけですか親父さん。
実の血が繋がった息子に対して、あまりにも冷たいんじゃないでしょうか?
とはいえ、貴族とはそんなものなのかもしれない。
しかし、親父さんにも原因の一旦はある気がするんだけどなあ。
我が子は天啓の持ち主だとか、周りに自慢げに話していたような気も?
まあ、それを今のオレが言っても仕方がない。
しかし、前世の記憶が戻ってなかったら発狂していたかもしれないな。
10歳で貴族から追放だなどと。
天国から地獄とはこのことだ。
前世の記憶が戻って良かった、今は唯、恥ずかしくて恥ずかしくて、リセットしてどこか遠くで暮らしたい……
今回の勘当は渡りに船だったのかもしれない。
と、気楽に考えていた訳だが。
その日の夜中、いつでも出て行けるように身支度を整え終わり、最後の見納めとばかり屋敷を見回っていると……
「仮にも長男、大人になれば家の跡継ぎを主張することもありえる」
「だからと言って暗殺など」
どこからともなく聞こえてくる不穏な台詞。
やばい、勘当どころか命を狙われている!? そこまでするのか、実の息子だぞ? 怖いな貴族。
このままでは消される、一刻も早くここを出なければ。
と、焦って家出した訳だが。
「ヘイ、アニキ。鴨が葱しょってあるいてまっせ」
即効ゴロツキに攫われるオレ。
どうしよう、身代金とか請求されたら……あっ、ゴロツキごと成敗されそうなヤカン。
「おっ、こいつアレじゃね? ほら、今噂の狼少年。姫さんについてた嘘がバレて張り倒されたって奴」
噂になっているのカ~……
「ああ、アレかぁ……」
リーダーらしき人が呆れたような顔でオレを見てくる。
同情するなら金をくれ! じゃなかった、縄ほどいて欲しいっす。
「ふうむ、だったら身代金はまずいかも知れんな。奴隷にして売っとばすか……」
なんて物騒な事を……
これも報いなのか……この世界のオレ、ほんと碌なことしでかしていないしなあ。
ああ、思い出すたびに恥ずかしくなる。あんなことや、こんなことまで……みなさんすいません、自分、これからはもっと謙虚に生きていきます。
「しかし、貴族を売り飛ばすってのもバレたらまずいな……そうだ、敵国へ売り飛ばそう。だったら貴族もくそもねえしな」
生きて……いけるのだろうか?
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