2話📱再度会いました。

「ぇっ?」


トイレの珍事件から二十分後、

私たちは偶然にもまた会ってしまった。


最初に言葉を発したのは

ミルクティー色の髪をした彼だった。


『さっきはお楽しみ中

邪魔してしまってごめんなさい。


この人が困ってたみたいだったから』


私の斜め後ろにいる彼を見て言った。


「あんた名前は?」


颯介さんに聞かれた。


『亜里雛です。


三人のお名前は?』


フルネームで答える必要性はない。


「文睦だよ」


助けた彼は文睦さんか。


「颯介だ。


さっきは悪かったな」


私に言ってるんだか

文睦さんに言ってるんだか。


「夏弦です」


鈴を転がしたような奇麗な声だ……


何時までも居ても

仕方ないということで

本屋と文房具屋の間にある

ベンチに四人で座り、

ゆっくり話すことになった。


席順は端から颯介さん・あたし

文睦さん・夏弦さんだ。


「亜里雛と文睦って呼んでいいか?」


颯介さんに聞かれた私たち二人は断る

理由もなかったから頷いた。


「そういや、文睦は躊躇ためらって

入って来なかったのに亜里雛は

何の躊躇いもなく普通に入って来たよな」


ああいうのは性格もあるけど、

案外、同性の方が戸惑うと思うんだよね。


『あたしはBL作家目指してるから

ある意味、

ありがとうございますって感じなんですよ』


小説のネタになるものは

何でもこいって感じだ。


「ぷっ。


なんだそれ」


颯介さんが笑った。


『それに、ああいうのは

どちらかと言えば

同性の方が恥ずかしく

なっちゃうと思うんですよ』


勿論、耐性のない人は

男女問わず戸惑うだろうけどね。


私がそういう人種なだけで。


「それは一理あるな」


颯介さんが頷いてくれた。

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