異世界系百合 Lv2

回復術士「結婚、ですか?」

盗賊  「そうや。」



魔族と人間の戦いが終結して二年、

盗賊さんがそんなことを言い出したのには少し驚いた。



盗賊  「なんや、そないな意外か?」

回復術士「いえ、盗賊さんはなんだか生涯独身を貫きそうな気がしていたので。」

盗賊  「うちかて何も考えてへんわけやないんや。いつまでも現役張れるわけあら     へんし、身ぃ固めとくのも考えなあかんなぁって。」

回復術士「...お相手はいらっしゃるんですか?」

盗賊  「おったら相談なんかせえへんって...。」ハァ...



それもそうだ。

一緒のパーティーだったときから男勝りだった彼女。

戦いが終結し少し丸くなったように思えるものの、そんじょそこらの男性などとは釣り合わないのだろう。



盗賊  「男共は女々しゅうてかなわんわ。一緒になってもええって思えるのが一人     もいてへん。もっと男気見せろっちゅうねん。」

回復術士「男気のある方ですか...、私が知っている限りだと盗賊さんが一番になって     しまいますが...。」

盗賊  「いやそもそも自分、男の知り合いがほとんどいてへんやん。いい加減男嫌     い治さんと、自分こそ一生結婚できんとちゃうんか?」ニヤニヤ

回復術士「私は盗賊さん一筋なのでいいんですよ。」

盗賊  「なんや、自分にも思い人が.........ってんんぅ!?」ガタッ

回復術士「おや、どうなさいました?」

盗賊  「い、今なんかサラッと愛を囁かれたような気がするんやけど。」ワナワナ

回復術士「気のせいか聞き違いでは?」

盗賊  「さ、さよか...?」



おっと危ないつい本音が。

私の気持ちが伝わってしまうところだった。

気持ちがばれること自体は構わない、しかし私とて一人の乙女。

告白は自分からするよりもされたい派なのだ。






盗賊  「そもそも結婚以前にまともな恋愛をしたことあらへんのやけど。」

回復術士「まあ、でしょうね。」

盗賊  「ん、でしょうねってなんや、でしょうねって。」ムッ

回復術士「盗賊さんはなんだかそういう事には奥手そうだな...と。」

盗賊  「なんや、お子様やって言いたいんか」ジトー

回復術士「実際、そこで遊んでいる子供たちに混ざっても違和感など無いのでは?」

盗賊  「うぅ...、気にしとるんやからな...?」ナミダメウワメヅカイ



なんだよその目線反則だろ誘ってんのかちきしょー。

襲うぞ、持って帰って滅茶苦茶に襲うぞオラ。



盗賊  「ど、どないした回復術士さん?目が怖いで?」



おっと危ない。

持って帰ってメチャックスするところだった。

理性、カムバック。



回復術士「いえ、すみません、少しボーッと...。」

盗賊  「大丈夫か?」

回復術士「大丈夫です。...盗賊さんが夜の営みどころかまだキスもしたことのないお     子ちゃまだっていう話でしたよね?」

盗賊  「なっ!?違うわアホ!うちは経験豊富なれっきとしたレディや!」

回復術士「嘘つけ。」

盗賊  「今、素出ぇへんかったか!?」



経験無しなのに見栄をはっちゃって。

本当に可愛いな。



盗賊  「ていうか、そないなこと言って自分も経験なんか無いんとちゃうか...?」

回復術士「当たり前じゃないですか。私の初めては盗賊さんに捧げると決めているん     ですから。」

盗賊  「ほら、やっぱ自分も経験なんか.........ってんんぅ!?」ガタッ

回復術士「おや、どうなさいました?」

盗賊  「い、今なんかサラッと重い愛を囁かれたような気がするんやけど。」ワナワナ

回復術士「気のせいか聞き違いでは?」

盗賊  「さすがに今度のはバッチリ聞こえたで。な、なんや、自分、うちと、」

回復術士「少しお痛が過ぎましたね、軽い冗談ですよ。」

盗賊  「そ、そうよな!つ、つーか冗談でもそないな事言うたらあかんで?」

回復術士「...?何故でしょう?」

盗賊  「や、それは、冗談でも自分みたいなべっぴんさんにそないな事言われた      ら、か、勘違いしてまうやないか...。」カアアァァァッ



なんだこの娘、可愛すぎか。

ていうか薄々思ってたけどやっぱりソッチの気があるんじゃないか。

今日はその気は無かったが、もしかしてもう一押しで墜とせるか...。



回復術士「あら、わたしは盗賊さんになら勘違いされても構いませんよ?」











このあと滅茶苦茶(ry

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