ヒロシのご機嫌主催者発表の巻

 今日も金歯宅前ではデモが行われている。


「金歯はため込んだ富を我々一般市民に分け与えろー!!」


「分け与えろー!!」


「将来入る予定のでけえ墓の建設工事に年端もいかない子供を従事させるのは止めろー!!」


「止めろー!!」


「金歯が死んだ時の殉死予定者の数を減らせー!!」


「減らせー!!」


 デモは無事に終了した。


「ごめんなさい。先ほどの反金歯デモなんですけど、参加人数を1000人と主催者発表してしまいました」


「え!? 500人しか参加していないのに!? 警察発表も500人なのに!? いくらなんでも盛りすぎだ。写真もバッチリ公表しちゃっているし、このままじゃやばいぞ! 正義のデモに嘘偽りがあったら、途端に信ぴょう性が失われる! ネットでたたかれる! マルぼん、なんとかならないかい」


「うーん。仕方ない。『あとから強引に辻褄あうマシン』を使おう。こいつを使うと矛盾だらけのことでも後から強引に辻褄があうんだ」


 その後、デモの写真を見たネットユーザーから、「主催者発表の1000人にはどう見ても満たない」という指摘があったが、参加者500人、老若男女問わず全員がどういうわけだか新たな命をそのお腹に宿していたことが発覚し、実質1000人ということで炎上することはなかった。


 勢いそのままに、金歯もその一族も無事打ち倒されて、揃って打ち首獄門。金歯一族の首は長年の間、野に晒されていた。町の人々は嫌なことがあると、その首に石を投げてストレス発散をするなどして、扱いはとにかく酷かった。そんなあるとき、首が突如として腫れるという奇病が流行し始めた。金歯一族の祟りだと恐れた人々は、いまさらながら亡骸を回収し、丁重に葬った。そして供養のために、この地に地蔵を建立。その後、冤罪でギロチンにかけられたり、青龍刀の取り扱い失敗して己の首をチョンパしてしまった人がこの地蔵に饅頭をお供えすると、切断された首が治ると言われるようになり、いまでも年間100万人のデュラハン状態の人が訪れている。いつの頃からか、この地蔵は「金歯の首地蔵」と呼ばれるようになったそうな。めでたしめでたし。

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