願い事ひとつだけかなえてくれるならの巻
ある日、ヒロシのところに女神が舞い降りた。
女神「私は女神。慈愛の女神。有料でなんでも願いをかなえてあげましょう」
ヒロシ「有料! ちなみに値段はおいくら万円?」
女神「いくらでもよろしい。ただ額が高けりゃ高いほどより早く願いがかなうという寸法」
ナウマン象「待ちな! 待ちな、ヒロシ! その権利、俺様に譲ってもらおうか。譲らないと言うのなら暴力も辞さないぞ」
ヒロシ「わ、わかったよ」
ナウマン象「女神さん。1万円払うから俺の願いを聞いてくれよ」
女神「その値段だと願い事が叶うのは二十年後くらいやね」
ナウマン象「構わねえ。構わねえよ。俺の願いは……」
ヒロシ「……」
ナウマン象「なに聞いてやがる! 恥ずかしいだろが!! てめえは席をはずせ!! 暴力も辞さないぞ!!!」
ってなことがあって二十年が経過。街中で偶然にも再会したヒロシとナウマン象は思い出話に華を咲かせた。その際、あの時聞きそびれた「ナウマン象の願い事」がなんなのか気になって、その話をふってみたが
ナウマン象「女神…? 願い事……? そういやそんなことあったなあ。ガキの頃だったし、何を願ったかなんて覚えちゃいねえよ。それよかさ、俺、結婚したんだ。この前、子供も生まれたんだぜ。それも元気な男の子! うちの親父も大喜びでさ、暇さえあれば孫の面倒を見てくれているんだ。嫁とも実の父娘のように仲がいいんだぜ! 明るい家族に囲まれて、俺、今最高に幸せなんだ! 機会があれば俺んちに遊びに来てくれよな! じゃあな!」
ナウマン象が去ったあとやってきたのは、色々あってヒロシと付き合うことになった慈愛の女神だ。今日、二人は買い物の約束をしていたのだ
女神「お待たせヒロシ! ……あら、今のは、その昔ヒロシの町でガキ大将気取っていた暴力の権化野郎じゃないの。そういや二十年前にあいつに頼まれた願いごと、ちょうどこの前叶ったんだよ」
ヒロシ「本人も忘れているみたいなんだけどさ、あいつ、どんな願い事したの」
女神「『弟が欲しい』」
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