悩み無用
ヒロシ「ストレス社会に負けちまったのか、頭髪抜けまくりでハゲまくりだわ! 見事つるっぱげ! 頭髪以外の毛は濃いのに、こりゃないぜ!」
マルぼん「この薬を飲めば、体中のあらゆる毛をすべて頭部に移動させることができるぞ。長さや形状が違う髪が一同に集えば見かけはおかしくなるだろうが、ないよりはマシだろう」
ヒロシ「その提案、受けましょう」
そんなわけで、ヒロシのあんなところの毛やこんなところの毛は、そろって頭部に移動。一部縮れていたりはしますが、見事ハゲはなんとかなったのでありました。胸毛もすね毛も湧き毛も、あらゆる毛が頭部へ行ったおかげで、ヒロシの体はツルっツル。ここもそこもあそこも、ツルっツル。どうもヒロシは浮かない顔。
ヒロシ「今回はマルぼんにえらい迷惑をかけた。いや、今回だけじゃない、いつもだ。マルぼんだけじゃない、
周りにいる全ての人たちに迷惑をかけている。それなのに僕は、いつもへらへらして。生きていて申し訳ない」
マルぼん「急にどうしたよ」
ヒロシ「きっとみんな、僕を恨んでいるはずだ。憎んでいるはずだ。煩わしく思っているはずだ。申し訳ない。本当に申し訳ない。僕みたいな人間が、生きていたら
限りある資源を無駄になる。死んでお詫びする。ヒロシ、逝きまーす!」
突然、らしくないことを言い出して、隠し持っていた短刀で割腹自殺を図ったのでありました。ヒロシ自害の報は、瞬く間に微笑町に広がりました。
ナウマン象「ヒロシが自殺だって? ひと様に迷惑かけて生きているのが申し訳ないとか、そういう理由で? 嘘だろ? そんな理由で死ぬほど、繊細なやつじゃねえよ」
金歯「他人の金を盗んで、ばれても平然としているような男でおじゃるよ、ヒロシは。そんなささいな理由で自殺だなんて考えられないでおじゃる」
ルナちゃん「そうよそうよ。ヒロシさんが、あれだけ図々しい……心臓に毛が生えているような人間が、急に繊細な人間になるなんて、ありえないわ。心臓の毛が全部抜けたとでもいうの?」
マルぼんは、「体中のあらゆる毛を、たとえ目に見えない毛であっても、すべて頭部に移動させることができる薬」の効果は絶大だと思いました。
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