ヒロシの証明~命とは生きるとは~
<前回までのあらすじ>
あたし、大沼ピロ美! ヒロシお兄ちゃんの妹だよ!
株で大損こいたヒロシお兄ちゃんは、当面の生活費を工面すべく、漫画やゲームやDVDなんかを売り払おうと、近所の「そういうものを買い取ってくれる古本屋」へ向かったんだけど、いつもはすんなり買い取ってくれたそのお店で、身分証明証の提示が義務付けられるようになっちゃってたの!
自動車の免許証も戸籍もないヒロシお兄ちゃんには酷な話だよね。案の定、その場で壊れちゃって、「ワイがヒロシや! 大沼ヒロシなんやー!」と絶叫。号泣。失禁。あらあらうふふ。
なんとか家に帰り着いたヒロシお兄ちゃんは、マルぼん(クズ)に「簡単に身分証明できるようになる機密道具だしてー」と泣きついて、マルぼん(生きる価値のないろくでなし)は、おカネ次第でどんな身分証明証も用意してくれる業者を紹介してくれたの。
業者「いくらだす」
ヒロシ「無料でおねがいします」
ところがこの業者、実は箸が落ちてもむかつくお年頃だったの。ヒロシの発言に激怒して、持っていた出刃包丁でヒロシお兄ちゃんのお腹を、それはもう、何度も何度も、めった刺し刺しめった刺し! 福本清三先生ばりの倒れ方をしたヒロシお兄ちゃんが、近場の病院に搬送され、大手術が行われたところまでが、前回までだったよね。
今回のお話は、半年以上の入院を経て、ヒロシお兄ちゃんが退院してきたところからはじまります。
それじゃ、これからもピロ美をよろしくね!
<前回までのあらすじ ここまで>
ヒロシ「しかしえらい目にあったよ。あと少しで、三途の川の向こう側へいっちまうところだった。はははは」
マルぼん「・・・・・・」
ヒロシ「どうした」
マルぼん「今までだまっていたけれど、マルぼん、実はもうすぐ死ぬんだ。具体的に言うと、あと10秒」
ヒロシ「なんだってー!」
マルぼん「しかもマルぼんの種族は、死ぬ時に炎上する。……ヒロシ、涅槃で待つ」
ヒロシ「ちょ」
2020年。大沼宅は、よくわからない炎に包まれた! 焼け跡から、住人と思われる遺体が多数発見されました(たまたま、ママさんの過去のボーイフレンドが大集合する催しがひらかれていたのです)が、損傷が激しくて身元が判明しないものが多数。でも、ヒロシの遺体だけは、腹の手術跡が決め手となって、すぐに身元が特定されたのでありました。
まさかあの業者、こうなることを予想して……。ちくしょう、泣かせるなぁ。完。
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