努力
ヒロシが真剣な顔をしてパソコンに向かっていたので「どうしたのカナ? 調べ物カナ? 西野カナ?」と尋ねてみると
「働かずに楽して暮らしたい」とか
「今の親は偽者で、本当の親は大金持ち。今まさに、リムジンで僕を迎えにきている」とか
「知り合いの臓器を合法的に売る方法」とか、そんな不吉ワードを検索していました。
マルぼん「貴様! 楽して金持ちになりたいとか、ロクな考えじゃないぞ!?」
ヒロシ「ああー水道の水がある日突然、石油にならねえかなー」
マルぼんは無言でヒロシをなぐっていました。
ヒロシ「なにをいたす、下郎!! であえー国家権力であえー!!」
マルぼん「うるさい!! 殴ったほうも痛いんだ(心が!!)」
マルぼんは、見ていると努力の大切さが身に染みて分かる観葉植物型機密道具『努緑』を出し、「汗水流して働くことの大切さ」「楽して稼いだ金は身につかない」と、ヒロシに説教をしました。その説教の成果もあり、ヒロシはようやく働くことを決意してくれたのです。
ヒロシ「ただ働くだけじゃ、ダメだと思う。僕、ヘルパーの資格をとろうと思うんだ。そして、福祉の仕事に従事する」
すぐに行動にうつすヒロシ。ヘルパーの資格をとった現在、ホームヘルパーとしてあちこちのお年寄りに家を飛び回っています。マルぼんも一安心です。
ヒロシ「おばあちゃん、こんにちは」
おばあちゃん「ああ、大沼さん。こんにちは」
ヒロシ「さっそく掃除からするね。あ」
おばあちゃん「どうしたの?」
ヒロシ「おばあちゃん。通帳だしっぱなしだよ。危ないよ」
おばあちゃん「そうかねえ」
ヒロシ「おばあちゃん。よかったら、僕が預かっておこうか」
おばあちゃん「いつも熱心にやってくれる大沼さんなら、安心だわ。
あずかってちょうだい」
ヒロシ「よし。きちんと預かっておくから安心してね。絶対きちんと預かっておくから安心してね。絶対勝手につかわないし。うん。つかわないし。熱心に働いていたのも、別に信用を得るためとかそんなんじゃないし。うん。ないし」
くどいようですが、一安心です。
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