ノックは必要!
風呂に入ろうと脱衣場のドアを開けたヒロシ。ところが、ちょうど風呂に入ろうとしていた妹が服を脱いでいて……
妹「キャー! お兄ちゃんのヘンタイ! 鬼畜! 痴漢! 外道! 下衆! 愚者! 生きる価値のないろくでなし!」
ヒロシ「うわーやめておくれ、やめておくれ!」
逆上して、殴る蹴る折る刺す焼く遺体を山中にバラ撒くといった暴行をヒロシに加える妹。ヒロシはなんとか自分の部屋に逃げ込みました。
ヒロシ「ふう、ひどい目にあった。しかし、ドアをノックしないのは僕の悪い癖だな……」
落ち込むヒロシ。少し前「他の連中、ドアをまるでノックしやしねえ!」と怒り、嘆き、呻き、「おのれ人間どもめ」と他者を憎み、大騒ぎを起こしたヒロシ。なんのことはない、自分もノックをしないのです。このバカ! バカ!
ヒロシ「ううう。なんとかノックをする習慣を身につけないと。おや、机の上になにか置いてある」
机には薬の入った瓶が置かれていました。
ヒロシ「これは……そうか、わかったぞ。これは『投与したらすぐにドアをノックする習慣が身につく薬』に違いない。マルぼんのやつ、僕のために用意してくれたんだな。あいつう。ご丁寧に、投与用の注射器まである。ありがたく使わせてもらおう」
数時間後、外出先から帰宅したマルぼんが部屋に戻るとびっくり仰天!
マルぼん「売ってお小遣いにしようと思っていた『気持ちよくなるけど、癖になる上、見えないものが見えてしまうようになるお薬(ひごうほう)』が、ない! しかも注射器は使用済みだ!」
あわてふためていると、廊下から「ドンドンドン」というなにかを叩く音。マルぼんが部屋をでると、ヒロシが妹さんの部屋の扉を叩いていました。
ヒロシ「このドアんとこに、虫がおるねん。叩き潰しても叩き潰しても、どんどん湧いてくるねん! このままやと、地球上が虫で溢れてまう。叩き潰さんと、叩き潰さんと」
なにもついていない扉を、血走った目でノック……いや、叩き続けるヒロシなのでした。
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