ヒロシのパラレル遺産相続
パパさん「なに、腹が減ったとな。よしよし。これでもお食べ」
ママさん「もがもがもがー!!」
ヒロシ「いま、母さんの口に札束を押し込んでいる老人が、新しい父さんなんだ。なんでも凄まじい大金持ちで、しかも死にかけなんだって」
マルぼん「死にかけの金持ちって、ママさんの好みタイプ直球ど真ん中だね。そりゃ、結婚までこぎつけるわけだ」
ヒロシ「でも、問題があって。父さんには前妻や側室との間に佃煮にするほど子供がいてさ……」
マルぼん「我々に入ってくる遺産はすずめの涙程度というわけか。それは問題だねえ」
ヒロシ「税金とかでも引かれるだろうし、なんとか財産をそっくりそのまま頂く方法はないかな」
マルぼん「『世襲契約書』。この契約書にサインをもらえば、サイン主の財産を、親族も税金も関係なく、そっくりそのままいただけるんだ」
マルぼんとヒロシはさっそく、新しいパパさんをだまくらかして、『世襲契約書』にサインをもらうことに成功しました。
ヒロシ「あははははは。財産ゲットォ! あははははは」
マルぼん「ヒ、ヒロシ! 鏡を見ろ!」
ヒロシ「え…ええ!?」
びっくりするのも無理はありません。ヒロシの顔はいつの間にかすっかり老いていたのです。その顔は……
ヒロシ「新しい父さんそっくりじゃないか…うっ。げほげほ。なんだ、体がだるい。思うように動かない。胃が痛い。目も見づらい。腰が痛い……」
マルぼん「そういえば最近は、小学生がお小遣い欲しさに自分の臓器を売り払ったり、秋葉原に中古臓器の店ができたりして、『体も財産の一部』であるという風潮だったっけ。親の肝臓をどちらが譲り受けるかを巡って、兄弟が争ったりもしている。新しいパパさんの体が財産とみなされて、みごとに受け渡されたんだ」
ヒロシ「げほげほほっ。昼飯まだかぁ…昼飯まだかぁ……ばあさんどこだー」
マルぼんは『世襲契約書』の効果は絶大だと思いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます