デリバリープリンセス

ヒロシ「ふう」



マルぼん「どうしたの?」



ヒロシ「バイトを始めたんだよ。荷物運びの。深夜の12時に駅前にいる男に、このボストンバック無事に渡せられたら5万円」



マルぼん「あきらかに怪しいバイトじゃないか。で、それがどうしたの」



ヒロシ「寒いから、やりたくないの!」



マルぼん「そんなバカみたいな理由があるか。さっさと行け! 下手すると殺されますよ!」



ヒロシ「うっさい。ここで割腹自殺を遂げて、あまりの痛みにのたうち回り、臓物をあちこちに撒き散らし、貴様の心に傷を負わすぞ!」



マルぼん「んだと、この餓鬼! しからば、機密道具だ!」



 マルぼんは機密道具『デリ針』を取り出しました。この針で刺された人は、刺した人のお使いを1回だけ肩代わりすることになります。



 ブスッ



マルぼん「あー!?」



ヒロシ「先手必勝!」



 説明が終わるか終わらないかのウチに、ヒロシはマルぼんから『デリ針』を取り上げ、マルぼんを刺してしまったのです。



ヒロシ「さぁ、さっさとこのボストンバックを運ぶ!」



マルぼん「体が勝手に動く~」



 こうしてマルぼんは、駅前にいる男にボストンバックをデリバリーすることになり、その仕事を完遂してしまいました。



 全てが終わったあと、マルぼんは、罪の意識に悩まされることになってしまいました。



マルぼん「あのバックの中身は、どんでもないものなのではないか。あの中身のせいで不幸になる人がたくさんいるのではないか」



 そんな時、ふと前を通りかかった交番。マルぼんは、ふらふらとその中に入り、中にいたおまわりサンに、ヒロシの罪を全てデリバリーしてしまったのです。



 その後、マルぼんは拘置所のヒロシに下着などを週一回ペースで、デリバリーすることになりました。

マルぼんは『デリ針』の効果は絶大だと思いました。

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