開かずのアレ
ヒロシ「むほ!?」
マルぼん「どうしたの、ヒロシくん」
ヒロシ「机の引き出しに入れておいた、秘蔵のコレクション(ネットオークションで落した、アイドルの毛とか爪とか)が、いつのまにかすべて奪いさられていたんだ!」
マルぼん「引き出しに鍵でもかけていればいいのに」
ヒロシ「そんなお金ないよう。なんかよい、機密道具ない?」
マルぼん「『パスワード設定機』。こいつを使えば、開いたり開けたりするものならどんなものにでもパスワードを設定できる。正しいパスワードを入力しなければ、開かなくなる」
ヒロシ「?」
マルぼん「とりあえず使ってみるか」
パスワード設定機「なににパスワードをかけたいのですか?」
ヒロシ「えっと、机の一番上の引き出し」
パスワード設定機「パスワードにする言葉を入力してください」
マルぼん「ここで入力した言葉がパスワードになる。他の人にばれにくい、できるだけ長い言葉がいいな」
ヒロシ「『象は、餌がもらえると思って、飼育員の前で芸をしました。「もう、いい。もういいんだ。芸をしても餌をあげることはできないんだ。やめるんだ」しかし象は、芸を止めようとしませんでした。それから息を引き取るまでの3日間の間、象は芸を止めようとしませんでした』これでいい?」
パスワード設定機「設定完了しました」
ヒロシ「あ。引き出しが開かなくなったぞ」
引き出し「パスワードをどうぞ」
マルぼん「さっきのパスワード」
ヒロシ「『象は、餌がもらえると思って、飼育員の前で芸をしました。「もう、いい。もういいんだ。芸をしても餌をあげることはできないんだ。やめるんだ」しかし象は、芸を止めようとしませんでした。それから息を引き取るまでの3日間の間、象は芸を止めようとしませんでした』。あ、引き出しが開いた!」
マルぼん「パスワードを設定したものは、パスワードを音声入力しない限り開かないのさ」
ヒロシ「これは便利な機密道具だね。開いたり開いたりするものなら、どんなものでもパスワードを設定できるの?」
マルぼん「うん」
ヒロシ「よし、大切なものがはいったところに、パスワードを設定しまくってやるぞ」
それから時は流れて
マルぼん「ヒロシ、病院から電話だ! いよいよだって!」
ヒロシ「そ、そうか、いよいよか!」
使っていた「パスワード設定機」を放り出し、病院へと向かうヒロシ。ついていくマルぼん。
看護師「大沼さん、はやくはやく! こちらへ」
ヒロシ「は、はいです!」
処置室へ飛び込むヒロシ。
ヒロシ「ふう~ふう~」
マルぼん「落ち着けよ、この日のために練習しただろ」
ヒロシ「そ、そうだった。マルぼんに出してもらったんだったね、ラマーズ法練習機」
処置室の分娩台の上では、ヒロシの妻であるルナちゃんが新たな命を誕生をさせようとがんばっています。ところが。
医師「開かないぞ」
看護師「なんですって」
医師「開かない。閉じたままなんだ。このままじゃ、このままではでてこない!」
???「パスワードを入力してください」
マルぼん「ヒロシ、おまえ、ルナちゃんにまでパスワードを」
ヒロシ「だって。だって、どこに妊婦を狙う猟奇殺人犯がいるかもわからないんだぞ。心配で、ボク心配で。で、でもパスワードは記憶しているから大丈夫! 『象は、餌がもらえると思っていて、飼育員の前で芸をしました。「もう、いい。もういいんだ。芸をしても餌をあげることはできないんだ。やめるんだ」しかし象は、芸を止めようとしませんでした。それから息を引き取るまでの3日間の間、象は芸を止めようとしませんでした』」
???「パスワードが違います」
ヒロシ「そんなバカな!? 『象は、餌がもらえると思っていて、飼育員の前で芸をしました。「もう、いい。もういいんだ。芸をしても餌をあげることはできないんだ。やめるんだ」しかし象は、芸を止めようとしませんでした。それから息を引き取るまでの3日間の間、象は芸を止めようとしませんでした』!」
???「パスワードが違います」
マルぼんは「パスワード設定機」の効果は絶大だと思いました。
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