星空への旅立ち
ナンシー「コンニチハ、ナンシーデース」
ヒロシ「ナンシーだ! 海の向こうからやってきた、僕らのニューヒロインだ!」
ナンシー「チャームポイントハ、コノ豊カナ胸デース!」
ヒロシ「くぅーたまらんー! たまらんー!」
ルナちゃん「んま! なによ、ヒロシさんったら。あんなホルスタインの化身みたいなのにデレデレしちゃって!」
ヒロ子「そうよそうよ、お兄ちゃんは人間のクズよ! ね、マルぼん」
マルぼん「ルナちゃんてばえらくご立腹だな」
ルナちゃん「私の胸も、あのホルスタインのようなビックスケールのものにしたいわ!」
マルぼん「そんなまっとうな作品のヒロインのような願望、どぶにでも捨てちまいなよ」
ルナちゃん「捨てられるものかよ! この物語がまっとうじゃなくても、私はまっとうよ! まっとうなヒロインなのよ! そう、私だけが、私だけがまっとうなの! うへ、うへへへへ」
ルナちゃんの望みは高く果てしなくわからんちんどもとっちめちんなので、マルぼんは機密道具を出すことにしました。
ルナちゃん「なにそれ、人間の頭蓋骨じゃないの」
マルぼん「『スケールトン』。この頭蓋骨の目の部分を三日三晩見つめ続けると、自分に関係するありとあらゆるものがスケールアップするんだ。当然、胸も」
ルナちゃんと『スケールトン』のにらみ合いが始まりました。そして、またたく間に三日三晩が過ぎ……
ナンシー「ヒロシサーン、ヒロシサーン。コノ黄色イ豚メガー」
ヒロシ「薄汚い僕を、薄汚い言葉で、薄汚く罵る、薄汚くないナンシー萌えー」
ルナちゃん「ヒロシどん」
ヒロシ「その声は旧ヒロインのルナちゃん。ナンシーと僕の蜜月を邪魔しに……って、うお!」
すっとんきょうな声をあげてビックリするヒロシ。それも仕方のない話。「スケールトン」の効果で、体のあちこちがスケールアップしていたのです。背も、足の長さも、胸も。
犬「ワン!」
なぜかルナちゃんが連れている犬が吠えました。
ヒロシ「ルナちゃん、ルナちゃんごめんよ。あんなナンシーなんかに心を強奪されて、ルナちゃんをないがしろにして!」
スケールアップしたルナちゃん(主に胸)に圧倒され、土下座して地面に顔をこすりつけ許しを乞うヒロシ。
ルナちゃん「よかよか。おいどん、そげなこと気にしてなか」
人間としての器までスケールアップしているルナちゃん。勢い余って仲の良い坊さんと入水自殺をしたり、不満を持った士族たちの旗印になりそうなくらいスケールアップしております。
それにひきかえ人間の器が小さいヒロシは、ひたすら謝って、土まで食べ始める始末
スケールアップしたルナちゃんは、自分を見限ってナンシーに走ったロシを精神的に追い込み、ついに出家させるにいたりました。自分を見つめなおすと旅に出発したヒロシを見送ったあと、家に帰ったルナちゃんはびっくり。
ルナちゃん「家が大きくなっているわ!」
マルぼん「『スケールトン』の効果は絶大だからね。家までスケールアップしたんだ」
ルナちゃん「ふうん。ありとあらゆるものに効果があるのねえ」
ルナちゃん母「たいへんよ、この週刊誌を見て」
ルナちゃん「なになに、『エロ教祖、聖職どころか性職だ』。こ、これって」
それは、ルナちゃんの入っている宗教の教祖が、信者の女性に手をだしているという週刊誌の記事でした。
ルナちゃん母「この記事で、我々に対する世間の風当たりが強くなっているの。尊師は現世に嫌気がさして『我々が安心して暮らせるエルドラドへ旅立とう』とお決めになったらしいわ。エルドラド行きの宇宙船は、今夜12時、学校の裏山から出港予定。裏山に信者は全員集合ですって」
学校の裏山で200人分の遺体が発見されたのは翌日のこと。調べてみると、遺体の身元は全員が町内のある宗教の信者。信者への性的暴行の疑いで警察の捜査がはじまったことを察した教祖が、信者を道連れにした集団自殺を図ったものと考えられる。
ヒロシ「あの宗教なぁ、昔は選挙のときにやたらと家に来たり、変なツボや印鑑を売る程度だったのに。なんでアメリカの大規模なカルト宗教みたいに集団自殺なんてしたんだろ」
町のインチキ宗教が、突然アメリカのカルトにまでスケールアップしたことに皆さん首をかしげました。
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