あんまりソワソワしないで

ヒロシ「ぎゃー!! 下校中、『俺は神です』と自称する男に『ラジオで俺の悪口を言うな!』とか言われながら、鈍器のようなもので頭部を攻撃されたー!! ドクターすぐに治療を!!」



背徳院医師「へ~い」



金歯「あ、ドクター? プラモ作ってたら、軽く指先を切っちゃったでおじゃるの。治療をおねがいでおじゃる」



背徳院医師「ああ! 金歯の坊ちゃまー!! すぐさま治療を開始するデスよ~」



ヒロシ「ああー脳がー脳がー!! 耳から血がー!!」



 ということがあっとかで、ヒロシが泣きながら帰ってきました。



ヒロシ「結局治療は受けられず、僕は生死の境を徘徊してきたわけだ。なんとか気合で怪我は治したけど、下手すりゃ死んでるよ! 死だよ、死! 無だけが永遠に続く、暗闇の世界だよ!?」



マルぼん「で、どうしろと」



ヒロシ「小学生が変質者に襲えわれたってのに、ニュースは元相撲取りの兄弟げんかしか放送していなし、うちの学校は集団下校をする気配もない! でてこい行政、とりあえず金だせ!」



マルぼん「で、どうしろと」



ヒロシ「どんなことでも必ず優先されるようになる機密道具!!」



マルぼん「なら、こいつだ『ヨコハ堂炒り豆』。ヨコハ堂というお店の炒り豆で、どんなことでも優先されるようになる」




 そして数日後。



マルぼん「で、どうなの?」



ヒロシ「例の炒り豆の効果は絶大だよ。今日、千葉ペストパラダイスへ1人で行ってきたんだけど」



マルぼん「どのアトラクションも人気で、2~3時間待ちや殺傷沙汰は当たり前の、あの千葉ペストパラダイスか」



ヒロシ「どのアトラクションも、順番待ちなしで乗れたよー。従業員が靴を舐めながら『お乗りください!』とか言ってきた!」



マルぼん「それはよかった。で、今日は家族会議なんだけど」



ヒロシ「え、なになに? また、僕の給食費をいかに捻出するかって話?」



パパさん「もうすぐ年貢を納める時期なんだが」



ママさん「年貢を納めたらね、うちで食べるお米が足りなくなるの。ぎりぎり3人分ってところ」



パパさん「学校の裏山は知っているな? あそこは実は姥捨て山でな」



ママさん「私と、パパと、マルちゃんで話し合ったんだけど、ヒロシにね、山へ…」



パパさん「登ってもらおうかな、と」



ママさん「あなただけが行くんじゃないのよ。お米がもっと足りなくなったら私も登るし」



パパさん「おまえはただ、最初というだけなんだ。分かってくれるな」



 マルぼんは『ヨコハ堂炒り豆』の効果は絶大だと思いました。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る