新ヒロシ

 今日もナウマン象が大暴れ。自分より幸せな人間が許せない! 生きとし生けるものすべてを認められない! とかで、八つ当たりでそこいらの物を壊しまくっています。それを口惜しそうに見ているのは、アメリカ出身の2代目、新大沼ヒロシ!。



新ヒロシ「ナンテヤツダ! コノママジャ、微笑町ハメチャクチャダ! ヤメルンダ、ナウマン象。物ヲ壊シタラ罰ガアタルゾ!」



ナウマン象「罰だと? あてられるもんならあててみな!」



新ヒロシ「アンナコト言ッテラァ! マルぼん、ナウマン象ヲ懲ラシメルコトガデキル機密道具ダシテ!」



マルぼん「『たたり鰯の煎じ汁』。未来の世界の汚染された水にだけ棲むことができる『たたり鰯』という魚を汁にしたもので、この汁を飲んだ者は、物や他者にひどいことをした場合、かならずその報いを受ける」



新ヒロシ「ソイツハ素晴ラシイ機密道具ダネ!」



 マルぼんは『たたり鰯の煎じ汁』をなんとかナウマン象に飲ませました。その効果などまるで知らないナウマン象は、相変わらず大暴れで、町の電柱に蹴りをいれております。すると、いきなり電柱がナウマン象にむかって倒れたではありませんか! ナウマン象、電柱の下敷きに。



ナウマン象「うぎゃー!」



マルぼん「蹴られた電柱の報復さ。蹴っただけなのにあんなにひどい報いなのは、汁が濃かったから。飲んだ汁が濃ければ濃いほど、やりすぎと言っても過言ではないひどい内容の報いとなるんだ」



ナウマン象「ちくしょう、なんだってんだ!」



 口惜しいナウマン象は、近くの家の塀をぶん殴りました。殴った直後、



ナウマン象「うぎゃー!」



 塀が崩れてナウマン象下敷き。塀の報復です。



ナウマン象「ちくしょう、なんだってんだ!」



 口惜しいナウマン象は、ものすごい勢いで地団駄を踏みまくっています。地面を踏む、地面を踏む、とにかく地面を踏みまくる。ものすごい勢いで踏みまくる。



 と、そのとき、ゴゴゴゴゴゴゴッと地響きが。大地は裂け、海は荒れ、空は黒い雲に覆われて、雷鳴が轟き、近所の犬が一斉に吠え出す始末。



新ヒロシ「コレ、ナンテ地球最後ノ日?」



マルぼん「顔を蹴られた地球が怒ったんだ。地球の報復だ!」



新ヒロシ「ワー! ウワー!」



マルぼん「うわー」



ナウマン象「うぎゃー!」



そのほか「ひえー!」

































 そしてその日、大きな宇宙の小さな星から全ての生命が消えたのでした。完。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る