いまだチャンスだ変身だ

ヒロシ「あ」



マルぼん「どうしたの?」



ヒロシ「薬を飲むの、忘れてた! 食後に服用しなきゃなんなかったのに!」



マルぼん「そうゆうときは、こいつの出番。『アラー霧』。この機密道具からは霧状の期待が噴出される。その期待を鼻から吸引すると」



ヒロシ「どうなるの?」



マルぼん「たとえばだ、さっきのキミみたいに薬を飲む予定だった人が、この気体を吸引する。すると、薬を飲む時間帯になると脳内に『そろそろ薬を飲む時間ですよ』という声が響く。ようするに、脳にアラーム機能がつくようになるの」



ヒロシ「学校へ行くのにちょうどよい時間になったら、脳に『学校へ行く時間だよ』という声が響いたりするんだね」



マルぼん「そうだね」



ヒロシ「うわー。便利な機密道具! ありがとう!」



ナウマン象「おう。よいもの持っているじゃねえか。俺に貸してくれよ。永久に貸してくれよ」



ヒロシ「で、でも」



ナウマン象「貸さないのなら、おまえの目玉を抉り出してキャンディ代わりにしゃぶりつくすぞ」



ヒロシ「わ、わかったよ」



ナウマン象「がはははは。これで俺様も遅刻知らずだ」



ヒロシ(こ、こいつはいつも、僕の大事なものを奪っていく…畜生。クズめ。人間のクズめ)



ナウマン象「あ、しまった。コンタクト落した!」



 落ちたコンタクトレンズを探すべく、四つんばいになるナウマン象。



 まわりには、ナウマン象とヒロシとマルぼん以外に、人はいませんでした。そして、都合よく、鉄パイプがそこらに転がっていました。鉄パイプを拾うヒロシ。その鉄パイプで、ナウマン象を



ヒロシ「……」



ナウマン象「ぎぎゃ!!」



マルぼん「なななななんてことすんだ!」



ヒロシ「『アラー霧』の効果は絶大だね」



マルぼん「はい?」



ヒロシ「脳にね、『ナウマン象を殺す時間(チャンス)だよ~』って声が響いたんだ。本当にね、脳にね、アラーム機能がついたね。すごいね」



 使っていない人にまで効果をもたらす『アラー霧』の効果は絶大だと、マルぼんは思いました。あと、ヒロシも罪には問われなさそうなので、マルぼんは一安心しました。

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