涙の価値は

ニュース『20××年には、人類が絶滅するそうです』



ヒロシ「うへ、うへへへ…おしまいだ、地球はおしまいだ…うへ、うへへへ(号泣)」



ニュース『20××年には、日本の人口は一億人をきるそうです』



ヒロシ「うへ、うへへへ…おしまいだ、地球はおしまいだ…うへ、うへへへ(号泣)」



ニュース『先月パンダの赤ちゃんが爆誕しました』



ヒロシ「うへ、うへへへ…おしまいだ、地球はおしまいだ…うへ、うへへへ(号泣)」



マルぼん「しかしまぁ、きみは些細なことですぐ泣くね」



ヒロシ「泣くのは僕の、最大の特技だからね。人望がなかった人の葬式や通夜に行っては、泣きまくって悲しんでいる人を装い、報酬を貰ったものさ」



マルぼん「どうせなら、もっと簡単にその特技を生かさない?」



ヒロシ「と、いいますと」



マルぼん「『真珠の涙目薬』。この目薬をさすとね、流した涙が全て真珠になるの」



 欲望に目を輝かせたヒロシは、さっそく『真珠の涙目薬』を目にさしました。で、愛読書の『かわいそうな象』を取り出し……



ヒロシ「ああ! 本当に涙が真珠になった!」



 ヒロシの涙が真珠になりました。



ヒロシ「でも、なんか小粒の真珠だね」



マルぼん「目薬の量を増やせば、大粒になるよ」



 ヒロシは何度も目薬をさします。



マルぼん「あ! そんなにさしたら、薬の効果が全身にまわってしまうよ!」



ヒロシ「全身にまわったら、どうなるのって、ああ!」



 ヒロシが驚くのも無理はありません。鼻から真珠が零れ落ちたのです。



マルぼん「涙以外の体液やらなんやらも真珠になってしまったんだ。汗とかも真珠になってでてくるぞ」



ヒロシ「むしろいいことじゃないか。これで大金持ちだよ.……ちょっとトイレに行ってくるよ」



 しばらくすると、トイレからヒロシの悲鳴が聞こえました。尋常じゃないレベルの苦痛に襲われたと思われる、悲鳴。マルぼんは、涙以外の体液やらなんやらも真珠に変えてしまう『真珠の涙目薬』の効果は絶大だと思いました。

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