萌えの万華鏡
マルぼん「艦これってなんだろ」
ヒロシ「萌キャラになった日本海軍の戦艦がでてくるゲームだよ。アニメもある」
マルぼん「ヒロシはやってないのかい」
ヒロシ「パソコンがいるんだよ。僕、持ってない」
マルぼん「そうか。じゃあ、あきらめろ」
ヒロシ「うん」
完
というわけにもいきませんので、とりあえずヒロシは「僕もコレクションを萌えキャラ化して、キャッキャッウフフしたいです」と駄々をこねました。マルぼんは「仕方ないね」と機密道具を出しました。
マルぼん「この道具を使えば、所有するコレクション(複数のコレクションがある場合は、どれか一種類のみ)が一斉に萌えキャラ化するんだ」
ヒロシ「さっそくコレクションである漫画に使ってみよう」
そんなわけで、ヒロシの漫画コレクションは萌キャラ化しました。一冊一冊が、それぞれ違うタイプの萌えキャラになるのです。
ヒロシ「うわー『女犯坊』がこんな萌えるキャラにー!! うわー!! 『バキ特別編SAGA』がこんなに好みのタイプにー!!わー。おら幸せだー!!」
マルぼん「よかったね。うれしいね。しあわせだね」
金歯「朕にもその道具をつかわせて欲しいでおじゃる」
マルぼん「いいよ」
ヒロシ「金歯といえば、町内随一の殺人鬼マニア。そのコレクションが萌え化するのには興味があるな。」
そんなわけで、金歯の殺人鬼コレクションは萌キャラ化しました。
金歯「うわー。『連続殺人犯Oの使っていたベレー帽』がこんな萌えキャラにー!! うわー!! 『アメリカの連続殺人犯Eの作った家具』がこんなに好みのタイプにー!! 朕幸せだー!!」
マルぼん「よかったね。うれしいね。しあわせだね」
町の権力者「私にもその道具をつかわせて欲しい」
マルぼん「いいよ」
ヒロシ「町の権力者といえば、権力を盾にして、歯向かう者や借金のカタに集めた人を奴隷とし、背中に『自分の所有物であることを示す印』を焼印して、コレクション扱いしている恐ろしい男。そのコレクションが萌え化するのには興味があるな」
そんなわけで、町の権力者の奴隷コレクションは萌キャラ化しました。
町の権力者「うわー。『年貢の免除を訴えてきた村の長老』がこんな萌えキャラにー!! うわー!! 『ローン地獄で落ちぶれて奴隷になった中年男性』がこんなに好みのタイプにー!! 私幸せだー!!」
マルぼん「よかったね。うれしいね。しあわせだね」
某国独裁者「オレにもその道具をつかわせて欲しい」
マルぼん「いいよ」
ヒロシ「某国独裁者といえば、『すべての国民は俺のもの。俺のコレクションだ』とか言っている狂った男。そのコレクションが萌え化するのには興味があるな。某国のすべての国民が萌えキャラ化するってこと? すげえ! それってパラダイスじゃん!!」
そんなわけで、ヒロシは独裁者のあとを追い、某国へと飛びました。
しかし、某国は萌えキャラで満ち溢れてはいませんでした。おっさんはおっさんのまま。なにもかもそのまま。
ヒロシ「どういうことだってばよ」
国民「おい、今から独裁者が駅前広場でギロチンにかけられるってよ」
ヒロシ「え、マジで」
独裁者「……」
ヒロシ「どうしたというのです。なぜ独裁者であるあなたがギロチンに。革命でも起こった?」
独裁者「俺、傀儡だったんだ今の今まで気付かなかった。この国を本当に支配しているのは、忠義ヅラして俺に仕えていた大臣や宦官連中だったんだ。俺は煽てられて、バカみたいにその気になって。世界中に『無慈悲な攻撃くらわしたるで』とか言ってたんだ。国民は俺のものなんかじゃなかったんだ。国民が萌えキャラにならないことで、ようやくそのことに気づいた。気づいて、連中に文句を言ったらこの有様さ。俺はすべての責任を負ってギロチンだ。明日からは、新しい傀儡ができて、同じ日常が続いていくんだ」
ヒロシ「たしかに処刑を見に来た聴衆に、萌えキャラしたやつはいない……あ、いた。一人だけいたよ。バニーガールみたいなキャラになってる」
萌えキャラ「5年前。餓死寸前だった私は、たまたま視察にやってきた独裁者様に、コメを恵んでいただいたのだぴょん。おそらくは、戯れ。なにかの余興にすぎなかったのだと思うのだぴょん。でも、私はそのコメで命を長らえたのだぴょん。あなたはたしかに無能で下衆な独裁者。でも、あのときのコメの美味しさは、あなたへの憎しみを抑えてしまうのだぴょん」
独裁者「神様ってのはやさしいな。こんな俺にも、慈悲をくれるのか。ありがとう。幸せな気持ちで死んでいける。今度生まれ変わったら、天使のような独裁者に……」
その後、処刑はスコーンと行われて、独裁者の首は飛びました。
ヒロシ「なんだ。つまんね。かーえろ」
帰国したヒロシを迎えたのは、見慣れない萌えキャラ二人。
ヒロシ「なんだ、マルぼんと母さんじゃないの。なんで萌えキャラ化しているのさ」
ママさん「借金のかたに、街の権力者様の奴隷になったのよ」
マルぼん「これから、町の権力者様が将来入られる墓(古墳的なやつ)作りだよ。もちろんお前もだぜ」
ヒロシは、いつの間にか自分が萌えキャラになっていることに気づきました。よくみると、マルぼんとママさんの近くに町の権力者が立っています。所有物の印をつけるための焼きごてを持って、ニタニタ笑いながら。
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