収納名人登場

マルぼん「火事だ!」



ヒロシ「脱出口は!?」



マルぼん「えっと。たしかこちら」



ヒロシ「げええ!? 散らかりすぎてどこかわからないー!!」



 炎に包まれ、その生涯を終えるマルぼんたちでした。そして、物語の舞台は来世(アラタナステージ)に。



マルぼん「まぁ、前世の敗因は、あまりにも片付いていないヒロシの部屋なわけだな。なんとかせなあかんな」



ヒロシ「僕、収納の才能とかないもーん。収納がうまくなる機密道具だしてよー」



マルぼん「『収脳』。この脳を自分の脳と入れ替えたら、めちゃ収納が上手くなる」



ヒロシ「入れ替えるって。今、入れ替えるってどうやって」



マルぼん「手術をはじめよう」



ヒロシ「医師免許みせてよ! いしめん…ぎゃー!!」




 しばらく後。



ヒロシ「これはここ、それはそこ…ものすごい! どれをどこにしまったらいいのか、嘘みたいに理解できる!!」



マルぼん「『収脳』の効果は絶大だろ」



ヒロシ「え、あなたはどちら…?」



マルぼん「その代わり、脳入れ替えの弊害で、日常生活の支障がでるけどな」



ヒロシ「私は誰なんです。なぜ生きているのですか。なぜ収納が得意なのですか。なんのために生まれたのですか」



 こうして収納の達人という新しい人生を送ることになった、僕らのヒロシくん。よせばいいのに、人様の家をきちんと片付ける『片付け屋』なんて商売を始めてしまいました。



ヒロシ「収納名人の者です! どんなものでもきちんと片付けますよ。片付けてみせますよ」



ヤクザ「兄ちゃん、ほんまかい」



ヤクザ2「じゃあ、こいつを片付けてください」



ヒロシ「男の人の写真…」



ヤクザ2「この写真の男を片付けてください。絶命的な意味で」



ヤクザ「自分らでやるのしんどくてな!」



ヒロシ「無理です」



ヤクザ2「そうですか」



ヤクザ「仕方ない。自分らでやろう。と、その前に。知らせたらあかんことをようさん、教えてもうたからな」



ヤクザ2「車に乗ってください、収納名人さん。港へ行きましょう」



 で



ヤクザ「あーコンクリ練るの、しんどいわ」



ヤクザ2「兄貴」



ヤクザ「どうした? 収納名人がゾンビとしてよみがえったとか、なしやで」



ヤクザ2「やっぱこいつが収納名人ってのは本当ですわ。こいつの入っているドラム缶、適当に拾ってきたやつなんですけど」



ヤクザ「ほう」



ヤクザ2「こいつの体とちょうど同じ。同サイズで、ぴったり入りますよ」

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