母憤死


ヒロシ「かあさんが憤死したよ」



マルぼん「アホみたいな高値で購入した真珠が、偽者だったらしいね。そりゃ、憤死もするさ」



 マルぼんは、これ以上、偽者による哀れな犠牲者がでないよう、『偽者を本物に変える』効果を持つ機密道具「本物化スプレー」を用意しました。



マルぼん「このスプレーをかけた『にせもの』は、すべて『ほんもの』になる。有名ブランド品の海賊版にかけると、海賊版が本物のブランド品になるという寸法だ」



ヒロシ「そりゃあいいや」



 マルぼんとヒロシは、町に溢れる『にせもの』を根こそぎ『ほんもの』に帰るべく、スプレーを町中に散布しました。




金歯「ぎゃー!」



ヒロシ「なんだなんだ」



マルぼん「どしたどした」



ナウマン象「き、金歯のやつと、おもちゃの刀で『打ち首ごっこ~俺が山田浅右衛門で、お前が高橋お伝で~』をしていたんだけど、突然、刀が重くなって、気づくと金歯が……ひぃ!」



マルぼん「おもちゃの刀が本物の刀になっている! そうか、『本物化スプレー』の力で」



ヒロシ「警察を呼んだよ」



警官「ちいっす」



ナウマン象「や、やばいこのままじゃ死刑だ!ちがうんですー! ラ、ラジオから神の声がきこえて。罪を背負った者を楽にしてやれって啓示が!」



警官「はいはい。わかりましたわかりました。言っとくけど、最近の精神鑑定は甘くないよ?」



ヒロシ「警官のやつ、完全にナウマン象が精神がアレなフリをしていると見抜いているよ」



 マルぼんはとっさに『本物化スプレー』をナウマン象にかけました。



ナウマン象「コ、コケー! コケーコケー!!」



 突然、鶏のマネをしだすナウマン象。



警官「なななななんんだ!?」



 ナウマン象は「ほんもの」になったのです。これで裁判も精神鑑定も乗り切れるでしょう。マルぼんは『本物化スプレー』の効果は絶大だと思いました。



ナウマン象「クケェェェェェェェェェェェェ!」

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