煙人間の初恋
ヒロシ「メロメロメロ~」
マルぼんがバイトを終えて帰宅すると、ヒロシがメロメロになっていました。どうも、近所に住んでいる未亡人にべた惚れしてしまったようです。
ヒロシ「メロメロメロ~。僕、もう身も心も彼女に捧げちゃうメロ~」
マルぼん「まぁ、がんばってその未亡人に見合う男になりなさい」
ヒロシ「それは努力でなんとかするメロが、実はひとつ問題があるメロ。それは恋敵の存在」
なんでも、町内の中小企業のエロ社長が、熟しに熟していながらも、はじけるような若さも残している未亡人の体を虎視眈々と狙っておるのだとか。
ヒロシ「あのエロ社長に未亡人が取られやしないか心配で心配で心配で夜も眠れないのだメロ~。あのエロ社長が未亡人に圧し掛かっている光景を想像したら、昼も眠れないのでメロ~」
マルぼん「それなら、やっちゃいなよ。そのエロ社長」
ヒロシ「それが、エロ社長は既に僕の存在をご存知なんだメロ。マルぼんという不思議な生き物がバックにいるこの僕の存在を。だから用心して、エロ社長本人しか開けることができない巨大な金庫(核爆発にも耐える防御力)を買って、その中に篭っているらしいんだメロ。中に篭られている限り、やることは無理だメロ」
マルぼん「金庫には社長しか開け閉めができない扉以外は、出入り口がないわけか。よし、これを使おう。『モクモクモクモ蜘蛛』」
そういってマルぼんが取り出したのは、一頭の巨大な蜘蛛。その蜘蛛はいきなり糸を噴出し、ヒロシはぐるぐる巻きにされます。
ヒロシ「ぎにゃー!」
それから一時間後。なんということでしょう。ヒロシの体は煙のようになっていたのです。
マルぼん「『モクモクモク蜘蛛』の糸が巻きつくと、体が煙のようになるんだ(効果は3時間)。煙のようになれば、わずかなスキマがあればどこへでも入れるだろう」
ヒロシ「わーい!」
煙のようになったヒロシはさっそくエロ社長の家へ向かい、扉のわずかな隙間から金庫内に侵入。煙人間ヒロシを見たエロ社長はひどくショックを受けて、卒倒。あまりの衝撃から後に出家を決意し、今では修行修行また修行です。後、彼は解脱。『1分で解脱できる1000の方法』『一億総解脱時代』『3年B組解脱先生』『解脱世間は鬼ばかり』『解脱のキタロウ』『解脱社長のワクテカ経営術』『え!? エロ社長なのに聖人に!?』など、たくさんの本を出版することになりますが、数年後、「これからや」という時に熱狂的ファンに殺されます。享年75歳。
ヒロシ「恋敵がいなくなったし、これで未亡人に安心してアタックできるメロー」
『モクモクモク蜘蛛』の効果が切れると、ヒロシはさっそく未亡人宅に行き、ズカズカとあがりこんでアプローチ開始。
ヒロシ「このギャルゲーおもしろいメロ。一緒にやるメロ」
ヒロシ「これがそのギャルゲーのノベライズですメロ。これもおもしろいメロ」
ヒロシ「このヒロイン、貴女に似てますメロ。萌えるメロ萌えるメロ」
ヒロシ「僕の好きな人って誰だと思いますメロ? ヒントは、今、僕の目の前にいる人」
ヒロシの愛の言葉を黙って聞いていた未亡人ですが。当然、鬼のような形相になったかと思うと、近くにあった鈍器のようなものを手に取り、ヒロシの後頭部を殴打。
未亡人「煙たいヤツ! 私の前からいなくなれ!」
ドカッ
マルぼんは、効果が切れた後もヒロシを(未亡人にとって)煙のような存在にしてしまった『モクモクモク蜘蛛』の効果は絶大だと思いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます