僕は必要とされたい
少年「将来はたくさんの人に必要とされる大人になりたいな」
ヒロシ「君が本気でそう願うのやったら、きっとなれるわ。大切なのは努力。もっと大切なのは、諦めない心よ!」
マルぼん「ここに自分の望むような大人になるための手順を書いたメモがあるさかい、ここに書かれたように生きてみなはれ」
しかし十数年後。少年は、どこにだしても恥ずかしいシリアルキラーへと成長を遂げ、老若男女を刺すは撃つわ打つわ殴るわ蹴るわ犯すわ殺すわ埋めるわ燃やすわバラすわ凍らすわ食べるわで、もうめっためたなのでありました。なんか家族とか自殺しちゃうし。めでたしめでたし。なぜめでたしめでたしなのかというと、逮捕されたからです。めでたしめでたし。
そんなわけで、ここはそんなシリアルキラー(以下、必要クンとします)が収監されている微笑町立刑務所。
刑務官「面会やで」
「はじめまして! 俺は、『NPO法人アニメおたく撲滅抹殺滅殺団』の代表だよっ。実はシリアルキラーである君にお願いがあってやってきたんだ! 君が犯した一連の犯行、『アニメに影響された』ってことにしれくません? いや、別に本当に観てなくてもいいんだよ?ただ、『アニメに影響された』とだけ言ってくれたら、あとはこちらが何とかするので。記事とかかいて、世間のアニメおたくへの風当たりを強くしてやるんだ。だから力を貸してくれ!」
翌日
刑務官「面会でござる」
「はじめまして! 俺は、『NPO法人体育会系の理不尽なしごき撲滅抹殺滅殺団』の代表だよっ。実はシリアルキラーである君にお願いがあってやってきたんだ! 君が犯した一連の犯行、『学生時代にスポーツ系部活動でしごかれたトラウマが原因』ってことにしれくません? いや、別に本当にトラウマがなくてもいいんだよ? ただ、『学生時代にスポーツ系部活動でしごかれたトラウマが原因』とだけ言ってくれたら、あとはこちらが何とかするので。記事とかかいて、世間の理不尽なしごきをする体育会系への風当たりを強くしてやるんだ。だから力を貸してくれ!」
翌日
刑務官「面会でごぜーます」
「はじめまして! 俺は、『NPO法人●●●発●●撲滅抹殺滅殺団』の代表だよっ。実はシリアルキラーである君にお願いがあってやってきたんだ! 君が犯した一連の犯行、『幼少時代、●●●発●●の近くに住んでいて、放●●に心をやられたから』ってことにしれくません? いや、別に本当に原●の近くに住んだことがなくてもいいんですよ? ただ、『幼少時代、●●●発●●の近くに住んでいて、放●●に心をやられたから』とだけ言ってくれたら、あとはこちらが何とかするので。記事とかかいて、世間の●●●発●●への風当たりを強くしてやるんだ。だから力を貸してくれ!」
翌日
刑務官「面会だよっ」
おっさん「はじめまして! 俺は、『NPO法人反●●●発●●撲滅抹殺滅殺団』の代表だよっ。実はシリアルキラーである君にお願いがあってやってきたんだ! 君が犯した一連の犯行、『幼少時代、反●●●発●●活動家の近くに住んでいて、その活動に影響を受けたから』ってことにしれくません? いや、別に本当に活動家が近くにいなくてもいいんですよ? ただ、『幼少時代、反原●●●発●●活動家の近くに住んでいて、その活動に影響を受けたから』とだけ言ってくれたら、あとはこちらが何とかするので。記事とかかいて、世間の反●●●発●●活動への風当たりを強くしてやるんだ。だから力を貸してくれ!」
翌日
刑務官「MENKAIDESU」
「はじめまして! 俺は、『NPO法人薄笑町住民抹殺同盟』の代表だよっ。実はシリアルキラーである君にお願いがあってやってきたんだ! 君が犯した一連の犯行、『自分は元々薄笑町の住民で、殺人の理由は微笑町の住民を殺したかったから』ってことにしれくません? いや、別に本当に薄笑町出身じゃなくてもいいんだよ? ただ、『自分は薄笑町の住民で、殺人の理由は微笑町の住民を殺したかったから』とだけ言ってくれたら、あとはこちらが何とかするので。記事とかかいて、世間の薄笑町への風当たりを強くしてやるんだ。だから力を貸してくれ!」
翌日
刑務官「面会でおじゃる」
「はじめまして! 俺は、『NPO法人微笑町住民抹殺同盟』の代表だよっ。実はシリアルキラーである君にお願いがあってやってきたんだ! 君が犯した一連の犯行、『自分は元々薄笑町の住民で、殺人の理由は微笑町の住民に差別を受けたから』ってことにしれくません? いや、別に本当に差別を受けてなくてもいいんだよ? ただ、『自分は元々薄笑町の住民で、殺人の理由は微笑町の住民に差別を受けたから』とだけ言ってくれたら、あとはこちらが何とかするので。記事とかかいて、世間の微笑町への風当たりを強くしてやるんだ。だから力を貸してくれ!
翌日
以下、同じようなことが永遠に続く。これからもずっと、時と場所と人間と団体が変わっても、ずっと。
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