春まっさかり

時は4月。別れと出会いの季節。



ヒロシ「ひゃっほうー! 今日は花見だぜえ!」



マルぼん「町長の体調がすぐれないから、今年は『花見をした者は処刑』だってさ。桜も、特殊な薬品(人体に触れたら光の速さで大学病院へ行かねばならぬ類)で咲かないようにされたよ」



ヒロシ「そ、そんな! そんなー! いやだ、いやだ。処刑されてもいいから花見をしよう!」



マルぼん「花見するにしても、桜が咲いていないんだって」



ヒロシ「それをなんとかするのが、貴様の役割であろう。だせよ、ご自慢の道具ってやつをよー」



マルぼん「『春まさかり』。このまさかりで傷をつけられた植物は、たとえ今が夏であろうが冬であろうが『今は春まっさかりだ』と勘違いし、花を咲かす」



 ヒロシは「春まさかり」を持つと外へと飛び出して行きました。咲かなくなった町内の桜の木に、春を取り戻すために。



警官A「きみ! そこのきみ! まさかりを、そんな凶器を持ってどこへ行くんだ」



ヒロシ「春を取り戻すため、公園へ向かいます。僕は春の使者なのですー」



警官B「取り押さえろー!」



ヒロシ「離してたも! 離してたも! 麻呂は春の使者であるぞー」



警官A「やれやれなんとか取り押さえることができたか。しかし最近、こういう輩が増えたなぁ」



警官B「春だしな」



 マルぼんはヒロシまで春まっさかりにしてしまった「春まさかり」の効果は絶大だと思いました。

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