火をつけたのはキミのほう

ヒロシ「将来はあれだ。消防士とかになりてえ」



マルぼん「努力しなよ、努力」



ヒロシ「僕は努力とまずい飯はきらいでね。機密道具、よろしくおねがいします」



マルぼん「仕方ねえな。『超予定表』。この予定表に書き込んだ『予定』は、それが起こるはずがないものでも必ず起こる。この予定表の今日の日付のところに、そうだな。『近所の喫茶店で消防署のおえらいさんと待ち合わせ』と書いて」



ヒロシ「書いたよ。これで、近所の喫茶店に消防署のお偉いさんが来るわけだね。

それからどうするの?」



マルぼん「まあ、とりあえず会いに行こう」



 マルぼんとヒロシが近所の喫茶店に行くと、すで消防署のお偉いさんがお待ちかねでした。



お偉いさん「なんのようかね」



マルぼん「これをお納めください」



お偉いさん「!! ……わかりました。ヒロシさんを採用しましょう」



ヒロシ「ええ!?」



マルぼん「この『山吹色クッキー』を渡した相手は、どんな言うことでも聞いてくれる」



ヒロシ「やたー」



情報屋「みたわみたわ」



ヒロシ「ああ、情報屋!」



 そこいたのは、ヒロシのクラスメイトの通称『情報屋』。学級新聞製作にたずさわる彼女の手にかかれば、どんな事件でも、まるで火のように瞬く間に町中に広がり、町のほとんどの人の耳にはいっていることでしょう。



情報屋「特ダネ♪ 特ダネ♪ 大沼くんが、裏取引で就職先をゲットー♪」



ヒロシ「ま、まて!」



情報屋「きゃ!?」



ヒロシ「今の、今のこと言うつもりだな!? 新聞の記事にするつもりだな!?」



情報屋「言わないし書かないから、助けて!」



ヒロシ「嘘だ。おまえは、嘘をついているんだ!



情報屋「ひ!? そ、そのバールのようなもので、なにをするつもり……た、たすけてー!!」



ヒロシ「ひ、火は、火はボヤの間に消さないと、と、とんでもないことになるんだ。とんでもないことに…消火、消火しないと…!」



 ヒロシは、人生最初の消火活動をはじめました。

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