テレビのチカラ
ヒロシが瞳を乙女の如く潤ませ、帰宅しました。ちょっと「ドキッ」としつつマルぼんが理由を尋ねると
ナウマン象「この中には空気しか入っていない注射器を静脈とか動脈とかに打ったら人体はどうなるか試させろ!!」
ヒロシ「ひぃ!!」
ってなことがあったそうで、ヒロシは「ナウマン象を殺して(その後ナウマン象の口座からお金を引き出して)僕は逃亡する! 顔をプチ整形する! 大阪某所に潜伏する! 石垣島に渡ろうとする! そして『テレビのチカラ』で特集される!!」と言い出す始末。
ヒロシ「マルぼん、アレあったろ、出して!! 人を殺しても罪にならない機密道具!」
マルぼん「勝てない喧嘩ならするな!!」
とはいえヒロシが不憫なマルぼんは、バカでも喧嘩に勝てる機密道具を用意しました。『イタク9錠』。飲むと痛みを感じなくなる、違法スレスレ(ぶっちゃけ違法)の機密道具です。
ヒロシ「すごい!! 柱に頭をガンガン打ち付けて流血しても、ちっとも痛くない。あはは。むしろ気持ちいい! あはははは。わかった、わかったぞ。人類は元々ひとつの存在。人はもっと深い部分で分かり合えるー!! あはははは」
こうして無敵になったヒロシはナウマン象に決闘を申し込んだのです。吹き荒れる暴力のあらし。
そして始まるヒロシとナウマン象の決闘。
ナウマン象「これでもか!」
ヒロシ「気持ちE-!!」
ナウマン象「これでもか!!」
ヒロシ「気持ちE-!!!」
ナウマン象「歓喜の声をあげるのはこの口か!!!!」
ヒロシ「気持ちE-!!!!」
ナウマン象「よ、よせ! 近寄るな! 恍惚とした表情をうかべるな! 瞳を潤ませるな! 顔を赤らめるな! そんな切ない表情で俺を見るな! これ以上、俺の心をかき乱すな!! 俺の心の大部分を占める存在になるな!! 俺の負けだ、許せ!!」
マルぼん「ヒロシくん!!」
ヒロシ「勝ったよ、僕」
マルぼん「うん?」
ヒロシ「みたろ、僕1人の力で勝ったんだ。もう心配ないだろ。これで未来に帰れる…」
マルぼん「その話、初耳なんですがマルぼん帰るの?」
そんな調子で2人で歩いていると、猫が捨てられていました。
マルぼん「まだ子猫だ。かわいそうだな、おい」
ヒロシ「そうだね。よし」
マルぼん「おや携帯電話。どこへ電話したの?」
ヒロシ「保健所。下校途中の子供をひっかきでもしたら大変だし」
マルぼん「おまえなにしているんだよ、こんなかわいい要素しかない子猫を保健所につきだすなんて!! 人間のエゴをむき出しにして。心は痛まないのか!?」
ヒロシ「別にぃ。これからは他人様の人権を容赦なく蹂躙して生きていきますのであしからず」
『イタク9錠』。飲むと痛みを感じなくなる機密道具。
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