ごぶごぶ


ヒロシ「おーい、ナウマン象ー」



ナウマン象「うん? ヒロシじゃねえか、昨日、あれだけボコボコに痛めつけてやったのに、えらく元気だな、おい」



ヒロシ「ナウマン象、実は僕、殴られることに喜びを感じるようになったんだ。痛みを快楽にかえるスキルを身につけたんだよ! だからさ、このハンマーで思いっきり、僕の頭を殴って! 辱めて!」



ナウマン象「はぁ?」



マルぼん「マルぼんからもお願い。そのハンマーでヒロシの頭を殴ってあげて。お金も払うから」



ナウマン象「まぁ、性癖は人それぞれだしな。分かった。殴ってやんよ」



 ナウマン象、ハンマーを受け取ると、そいつを使って思いっきりヒロシの頭を殴りました。ヒロシの頭には大きなコブができました。



ナウマン象「さぁ、殴ってやったぞ。約束の金をいただこうか」



ヒロシ「そんなもの……払うかよ!」



 ヒロシ、いきなりナウマン象に殴りかかります。殴られたナウマン象は吹っ飛ばされ、近くの壁に激突。



ナウマン象「な、なんだこのパンチ……! 昨日のヒロシのヘナチョコパンチが嘘みたいな威力!」



ヒロシ「ふふふ。これは『キミのパンチ』だよ、ナウマン象」



ナウマン象「なんだと?」



マルぼん「このハンマーは機密道具なんだ。このハンマーで人の頭を殴ると、殴られた人の頭にコブができる。そのコブは『五分コブ』という特殊なコブでね、『「五分コブ」ができた人の能力』を『ハンマーで殴った人の能力』と同じにしてしまう効果があるんだ。つまり、今のヒロシの力はね、ナウマン象、キミとそっくり同じ。五分五分の状態なんだ」



ヒロシ「昨日は圧倒的な能力の差で、ボロ雑巾のようにされた僕だけど、能力が同じなら話は別。貴様には負けない」



ナウマン象「よくわかねえが、よくわかんねえが……貴様などにやらせてたまるかよ!」



 そしてはじまるヒロシとナウマン象の死闘。攻撃力も、防御力も、知力も、洞察力も、移動力も、全てが五分五分なのでまるで決着がつきませんでしたが、数時間後、戦いは終結。勝者は……



ヒロシ「殺ったー!」



 大沼ヒロシその人でした。



マルぼん「やったな、ヒロシ!」



ヒロシ「マルぼんのおかげだよ、いやー、ついにナウマン象に勝利した! 祝いにラーメンでも食べに行こう!」



黒服「あ、おったおった。あんなところでのびとるな。おい、起きろや、ナウマン象。のびとらんで、金返せ」



ナウマン象「きゅう」



ヒロシ「あれは町の闇金融の人じゃないか」



マルぼん「ナウマン象、多額の借金を抱えているらしいからねえ」



黒服「あかん、こりゃ再起不能や。仕方ない。大沼、お前が払え」



ヒロシ「え、ど、どうしてです!?」



黒服「ほら、この借用書。保証人の欄を見てみ」



ヒロシ「ぼぼぼぼぼぼぼくのハンコ(実印)とサインが! そういえば、この前ナウマン象に頼まれたっけ!」



黒服「さぁ、払え。今払え。すぐ払え! さぁ! さぁ! いやなら臓器をすぐ渡せ!」



 マルぼんは、ヒロシの攻撃力も、防御力も、知力も、洞察力も、移動力も、経済力も、全ての能力をナウマン象と同じにしてしまった『五分コブ』の効果は絶大だと思いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る