平成たぬき合戦ドンゾコ

 ここは学校の裏山。



ヒロシ「昔はこのあたりにも、お化けなんかに化けて人を驚かせる狸がでたらしいよ」



マルぼん「今はでないんだね」



化け狸「今もいるぞー!」



ヒロシ「ひゃー! 草むらから化け狸が飛び出してきた!」



化け狸「貴様、よくもまぁ、オラをいないことにしてくれたなぁ。傷ついた、ああ、傷ついた傷ついた。もうゆるさねえ、オラとデュエルしろ!」



ヒロシ「デュエルですと!」



化け狸「そう、デュエルだ。負けたやつは勝ったやつの奴隷になるってのでどうだ。勝負内容はそうだな、変身対決! どちらがより本物に近く変身できるかを競う」



ヒロシ「僕はなんの変哲もない少年だぜ。化けるとかそういうことをできるはずないだろ」



化け狸「それなら、不戦敗だな。おまえはオラの奴隷だ。とりあえず、服を脱げ。そして四つん這いになれい! はぁはぁ。こら、はやくせんか! はぁはぁ」



ヒロシ「このままじゃ、僕の貞操が大ピンチだ。マルぼん、なんぞ機密道具!」



マルぼん「『オオバケ葉っぱ』。この葉っぱを頭に乗せると、どんなものにでも化けることができるんだ」



ヒロシ「普通に化けるだけじゃ、あやつに勝てないよ」



マルぼん「心配するな。こいつにはうれしい機能がついている。こいつを使って化けるとだな、自動的に最新の姿に化けることができるんだ。たとえばテレビに化けるとだな、自動的に一番最新のモデルのテレビに化けるんだ。人間でもそう。その人物の、今現在の姿に化けることができるんだ」



ヒロシ「よ、よし、やぶれかぶれだ」



 『オオバケ葉っぱ』を頭に乗せるヒロシ。



化け狸「ではデュエル開始。お題は、そうだな、歌手の『歌野ヘタ子』だ」



 『歌野ヘタ子』は、一昔前に一世風靡した女性歌手です。



化け狸「まずはオラのターン。ドロン!」



 化け狸はいきなりジャンプすると、空中で一回転。あっという間に『歌野ヘタ子』に化けてしまいました。テレビに頻繁に登場してた頃の、もっとも有名な姿です



化け狸「ははははは。どうだ。次はおまえのターンだぜ」



ヒロシ「ふ、ふん。『オオバケ葉っぱ』の力で、僕はどんなものにでも、最新の形で化けることができるんだ。見せてやる、『歌野ヘタ子』の最新の姿を。変身っ」



 ヒロシはジャンプすると、空中で一回転。



マルぼん「あ、ちょっと待て、たしか『歌野ヘタ子』って」



 一回転した直後、ヒロシは骨と化し、ボロボロと崩れ落ちてしまいました。



マルぼん「先週亡くなったんだよ子」



 マルぼんは、ヒロシを『歌野ヘタ子』の最新の姿に化けさせた『オオバケ葉っぱ』の効果は絶大だと思いました。

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