美少女が来た日

 どうも出会いがない。僕の人生にはヒロインがいない。このまま一人で老いていくのか。このまま一人で死んでいくのか。そんなのは、いやだ!



 と、いうような悩みをマルぼんに相談してみたところ、「恩返し飴」なる機密道具を出してくれました。助けてくれた人の家に人間の女性の姿で恩返しにきた鶴から作られた飴で、この飴を舐めてなにかに親切にすると、その「なにか」が女の子になって恩返ししにきてくれるらしいのです。「なにか」は動物だけではなく、植物や無機物なんかでも大丈夫とのこと。



 恩返しに来てくれた女の子に「死ぬまで一緒にいて!」と願えば、僕の人生は素晴らしいものになるはず。



 さっそく「恩返し飴」を手に入れた僕は、さっそく舐めて、さっそく親切の対象となるものを探すことに。と、その前に腹ごしらえ。なじみの定食屋へ。



定食屋の店主「あれ? ヒロシくん。いつもライス大盛りなのに。今日は小盛りでいいのかい」



「腹八分目。たまには胃を労わらないとね。……うっ」



定食屋の店主「おい、なんか顔色悪いぞ。脂汗もひどい。おい、おい。ヒロシくんしっかりしろ! 大変だ! 救急車!……あ、瞳孔が。脈も」



                     ※



 死因特定のため後日行われた司法解剖。医者がメスを入れると、どういうわけかヒロシの体内には胃がなく、そのかわり生きた美少女(アニメ絵)がでてきたそうです。美少女は、子供に恵まれなかったその医者の養女となり、幸せに暮らしました。めでたしめでたし。

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