ゼロからは始めないチーター生活
チャカギ高木
第1話
|チーターというものは基本相手に恨まれ、憎まれ、ただ自分が優越感に浸れるだけの極めて下衆な存在なのだ。
どんなゲームにだって必ずチーターは存在している。
運営がどれだけアカウントを凍結しようが影でこそこそと隠れて姑息な手も使って逃れているチーター達もいる。
この世はチーターが最も悪で最も強いのだ。
だがしかし、運営側のミスだか神の仕業だか知らないが、偶然にもチーターと言うエグいほど強い存在が生まれてしまうのだ。
彼「ユウタ」もその中の一人である。
ユウタは普段都内の普通の偏差値の私立高校に通っている極めて普通の現役の高校生である。
チーターへの扉を開く朝、普段通り朝起きて大好きな蜂蜜を満遍なく塗りたくったパンにかぶりつきながら学校に間に合うように猛ダッシュ‼︎
なんて事は無く、リビングでしっかりと朝食を済まし、少し長めの便を済ませてから学校へと向かう。
友達がそんなに多いわけだもないため登校中に話しかけられるなんて事は滅多にない。
あってもクラスメイトからの「おはよう!」ぐらいの極めて普通の挨拶ぐらいなのだ。それも月に一度ぐらいの頻度でだ。
実に情けない……
一人でいつも通り学校に着き、自分の教室へと向かう。
だがやけに今日は静かであった。
ふしぎだな〜とは思ったが特に気にせずに教室の扉を開けた。
そこはなんとも変わり果てていた。
居るはずのクラスメイトが誰一人いない。
しかしそれもそのはず。
そこにはぐにゃんぐにゃんとした異空間が漂っていた。
この変哲も無い教室の扉が今日は異世界への扉、すなわち【チーターへの扉】
となっていたのだった。
ゼロからは始めないチーター生活 チャカギ高木 @tyakagitakagi
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