駅で

ある駅で


ホームには人が沢山いて

私とAさんは急いでいた。

目の前の階段から、キャリーバッグを持った

真っ白の女の人が歩いてきた。

確か、ノースリーブだったと思うんだけど

腕も足も顔も、色白というより

舞妓さんの白塗りみたいな白。

髪は真っ黒で長かった。

顔をよく覚えていない。

かなり異様だった。見た瞬間に動けなくなるほど。

真っ直ぐこちらに向かってくるので

思わず道を開けた。

Aさんと私の間を抜けていって

私は動けなかったので、Aさんは私より少し前を歩いていた。

私は振り返ったけど、他の人も特に驚いた様子はなく、普通にしている。


「今の、見ました?」

「え?う、うん?」


何のことか解っていない様子で

とにかく私たちは遅刻しそうだったので

複雑な駅の中で、どちらに行けばいいか

Aさんは必死に探してくれていたので

さっきの人は目に入っていなかったのかもしれない。


ただの色白の人だったのかな?

なんだったんだろう…

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