第2話 入団試験
クダンが試験会場に着くと周りは人でごった返していた。
「一列に並んでくださ~い」
「A会場はこちらです」
受付の女の人が忙しそうに奔走の中、俺はゆっくりとD会場に歩いていた。
やっぱりあらかじめ他の所で申し込みしといて正解だったな。
そう、本来なら、ここの受付以外でも試験の申し込みを行うことができる。例えば、俺がさっきいた職業斡旋所や他のギルドで申し込みは可能のはずなのだが、それにさっきからいちいち個室の部屋で登録している奴がいる所を見る限り、身元バレを気にしているのか?そんな様子には見えないが。
「ここから先はD会場です。登録名を言ってください」
「クダンです。番号はまだもらってません」
「外部からの申し込みでしたか、失礼しました。番号は9850番です。試験頑張ってください」
俺は受付の人にお礼を言いながら、D会場に足を踏み入れた。
そこは文字通り闘技場だった。会場をぐるりと取り囲むように、人がところ狭しとつまっていて、皆一様にこれから行われることが楽しみで仕方ない、と言った表情だ。
周囲からの舐め回すような観客の目線に耐えながら、待っていると眼鏡を掛けた男が、壇上に上がってきた。
「司会を務めるアルタイルだ。早速だが、試験を説明を始める。ルールはシンプルだ、ここにいる2364名の受験者は50分間の間この台で生き残ることが第一試験の合格の条件だ。一度でも台の外に出たら失格。殺さなければ、何をしてもいい。最後にこの試験は時刻を告げる鐘の音が鳴った時点で25名以上だった場合全員失格と見なし、不合格とする、10分後、試験を開始する。各々準備を済ませるように、以上だ」
眼鏡の男アルタイルが壇上から降りるまで、皆、驚愕で声が出ず、降りきってやっと時が流れ出したように怒号やら、悲鳴やらのオンパレードになった。だが、試験がそれを許さない。
「さて、いっちょやりますか」
これまでの鍛練を思い出せ、何のために剣を振るのか、何のために拳を握るのか。答えはもうでてる。だから迷わず剣を抜け。
「開始まで後1分です」
実況役の人がそう叫びながら、俺は剣を抜いた。無駄な装飾のないロングソード。それが俺の得物だ。周りの奴の様子を伺いながら実況のカウントダウンが10秒を切った。
「5、4、3、2、1 ・・・試験開始」
そして、俺達の生き残りを掛けた戦いが幕を開ける。
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