第3話 『追い剥ぎ』のルーティ 

 開始の合図とともに襲ってきた男達の攻撃を回避しながら、周りの状況を確認する。


 「げへへ、お嬢ちゃん、悪いが俺達と遊んで貰「断る」うぜって、おいおい、C級冒険者カリボー様の誘いを断るたぁいい度胸しているなぁ」


 盗賊風の格好をした、黒髪の女が、下卑た笑みを浮かべた男達に囲まれていた。


 ここは、ヒーロー、つまり俺の出番だな。


 男達が一斉に襲おうとしたタイミングで俺は男に背後から切りかかり、相手が反応する前に次の男に切りかかった。


 「何すんだおめぇ! 邪魔すんな」

 「バトルロイヤル何だから、相手のスキを狙うのは当たり前だ」


 そう言って俺は4人目に切りかかった。だが、さすがに冷静になったのか、奇襲にも対応してくる。しかし他の奴らが俺に意識を向けるも計算の内、盗賊風の女の人が逃げる時間を稼げればそれでいい。そして残った男達をぶっ倒せれば良かったのだが。


 「邪魔すんな」


 と盗賊風の女の人が、腰から曲刀を抜き、バッタバッタと倒して行く。


 あれ?これは俺の出番じゃないの?格好着けて助けたのに。


 俺が一人落ちこむ中、気付けばリーダー格の男一人だけになっていた。


 「何なんだよ。お前は」


 リーダー格の男に紫紺の瞳を向けて言った。まるでこの場にいる全員に聞こえるように。


 「あたしの名前はルーティ。覚えておきな!!そこのあんたも」


「お、お前が最近冒険者ギルドのブラックリストに載ってる『追い剥ぎ』か、噂じゃあ、B級冒険者を素手で倒したとかの話も聞いたがまさか女だったとはな、だが、もう油断しない」


 そう言った瞬間、カリボーから感じる圧力が強くなったように感じたが、


 「もう終わってるよ」


 ルーティがそう言った瞬間にカリボーが倒れた。そして倒れたカリボーや他の奴らの武器を回収していた。


 「ねえ、何で人の武器盗ってるの」

 「こいつらはあたしが倒した。強者が弱者の物を奪って何が悪い」

 「悪いに決まってる。それは悪者の行為だ。だけど俺は女の子を傷つけたくない。それに君、女の子なのに凄く強いしね」

 「初見で私の『不可視の刃インヴィジブルブレード』を回避できるわけないだろ」


 ルーティはそう言って少し怒ったように俺を睨み付け、すぐに興味無さそうに他の所に言ってしまった。


 あれ、俺放置ですか。せっかく4人も倒したのに。お礼は言ってもらえないんですね。


 少し残念な気分になりながらも、すぐに頭を切り替え敵に意識を向けた。

 俺はそれからコソコソ後ろから切りかかったり、相手を転ばせたりしてどんどん退場させた。それなのに、頑張ってるのに俺は試験が終わるまで誰からも注目されなかった。


 そして終了の鐘の音がなり、


 「試験結果は22人、第一試験合格だ、次は学力試験だ、ついてこい」


 間髪入れず、次の試験の告知をされ、こんどは学力の戦いが幕を開ける。

 


 


 


 


 


 

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