第12話 職業
「良いわあ、まだ幼さが残る顔がそそるわぁ」
ペタペタと顔を触られる。
鳥肌が立つが動けない。
「名前、なんて言うのかしら。ワタシはクリス。クリスマスのク・リ・ス♡」
「ハ、ハジメです」
震える声でなんとか答える。
「そのへんで勘弁してやれ、クリスさん」
「あらあらあら、もしかしてルカちゃん、この子と付き合ってるの? ラブラブなの?」
「つ、付き合ってないっ」
クールなルカが冷静に対処できないでいる。
どうやらクリスが苦手なようだ。
「そうなの、相変わらずウブねえ」
クリスがルカの頬を触る。
「ゔーー」
ハイドが眉間にシワをよせて唸っている。
犬もオカマは苦手なようだ。
「珍しいな、A組が特訓に来るなんて」
「まぁねぇ、うちのリーダーがね。様子見て来いっていうのよ」
リーダー? A組にはリーダーがいるのか。
「また大規模な合同ミッションがあったときの為に、新人のチェックというとこかしらね? まあ、ワタシは男チェックしに来たんだけど、当たりだったわぁ」
こちらにウインクをしてくる。
ぞわっと背筋が
「他に新人は増えてない? 死んだ人とかはいない?」
「新人はコイツだけだ。後はシュンが亡くなった」
「えーー、シュンちゃん死んだのぉ、味見しようと思ってたのにぃ、残念だわぁ」
クネクネと腰を動かす。
やばい。色んな意味でやばい男だ。
「そう言えばルカちゃんは、まだ職業狩人なの? ジョブチェンジはまだできない?」
職業? ジョブチェンジ?
ノートに書いてあっただろうか? 見た覚えがない。見逃しているのか。
「まだだ。レベル20まであと少したりていない」
「そう、ジョブチェンジしたらA組においでね。カムイちゃんみたいに残留しないでね」
「考えておく」
気になるワードが
しかし、今質問して良いものか。
A組のリーダーに様子を見て来いと言われたクリス。
もしかしたら神様候補を探りに来ているのかもしれない。
「あらあら、なにか聞きたいって顔してるわね」
このオカマっ、するどいっ。
「でも新人にはまだまだの話なのよ、まずはレベル10まで上げなさい」
レベル10、今はレベル2だから確かにまだまだの話だ。
「レベル10で職業を選べる。ボクは狩人を選択した。選択した職業によってポイントで選べる装備やスキルが変わってくるんだ」
ルカが助け船を出してくれる。
「そうそう、さらにレベル20で上位職にジョブチェンジできるのよ。ワタシは狩人からスナイパーにジョブチェンジしたわぁ、ちゅ♡」
クリスはそう言いながら、ライフルに口付けした。
ダメだ、気持ち悪い。きっと俺はオカマが苦手だったのだろう。
「B組からA組に編入出来る条件は、上位職になることよ。早くレベルを上げてこっちにきてね、ハジメちゃん」
甘えた声で俺の鼻をツンと触わってくる。
今、ものすごくA組に行きたくなくなりました。
「それじゃあ、ワタシはそろそろ帰るわね。二人とも死んじゃダメよ。リーダーが言ってたわ。近いうちに面白いことがあるって」
「面白いこと?」
聞き返したら、今度は人差し指を俺の口元に当ててきた。
ダメだ。寒気がする。
「まだナイショらしいわ、じゃあねハジメちゃん。また会いましょうね〜〜」
投げキッスと共に携帯を取り出す。
タップするとクリスの前に、椅子が現れた。
座った瞬間にクリスの姿は椅子ごと消えてなくなった。
「くそオカマめ」
「わんっ」
ルカとハイドが同時に言う。
ハイドも同じことを言ってそうだ。
「
携帯を水着の胸から取り出す。
いいな、あの胸。
タップするとハイドが消えて、椅子が現れる。
どうやら訓練イベントは途中退室ができるようだ。
自分の携帯は机に置いてきた。
時間までは帰れない。
「またな、ハジメ」
「はい、また」
クリスと同じように椅子ごと消えるルカ。
一人取り残される。
「職業か」
アリスは騎士でルカが狩人。
カムイはロボだろうか、間違いなく上位職だ。
アイや死んだシュン、そして俺は無職ということか。
まだまだ調べなければいけないことが、山ほどありそうだ。
クリスの行動も気になる。
A組のリーダーは神様候補を捜すためにクリスを寄越したのではないだろうか。
面白いことがあるという言葉も怪しい。
しかし、今はどうしようもない。
時間までカカシ相手に剣で訓練する。
ミッションをこなしてレベルを上げてポイントを貯める。
まずは職業につかないと話にならないようだ。
神様と神様を呼び出した者の対決。
今の時点ではこちらが圧倒的に不利だろう。
下手をすれば対決の前に、ミッションで普通に死んでしまいそうだ。
だが相手の
もし今、神様の疑いをかけられても、向こうは舐めてかかるだろう。
いつでも殺せる、相手にそう思わせておけばいい。
それは時に最強の武器にもなる。
カカシの頭を剣で突く。
カカシやゴブリンと同じように人間相手に剣を刺せるだろうか。
そんなことを考えながら、時間までひたすら剣を振っていた。
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