第2話始まりの執刀②

「どうやって知り合ったんだ?」

「お互いの知人がこの前開いてくれたパーティーで知り合ったんです。そう言えば、春果ハルるんがなんか、脳神経外科医の知り合いがいないかなんて言ってたんですけど?」

「春都さん。俺……脳神経外科医っすけど?」

「うわっ!!良いとこに!聞いたとおりに話すけど?良い?」

「はい。」

「頭痛と吐き気と時々、麻痺したりするらしくて。」

「ふぅーんそれで?」

「時々、意識失ったり、嘔吐したりするらしいけど。何かわかった?」

「緊急手術しましょうか?病名わかったんですけど?」

「明日は、どうかな?今…連絡するから。」

「明日の午後2時ごろでどうですか?」

「因みに病名は?」

「脳動静脈奇形っていう病気ですかね。CT撮れば分かるんですけど?」

「いや良い。この結婚祝賀会パーティー食事会が終わったらでいいかな。春果ハルるんとその脳動静脈奇形?の人が今日しか空いてないらしくてさ?」

「へっ!?ホントですか!?」

「本当の事だよ。」

「親父!ゴメンまた後で来るね。夏希も連れて。春都さん。一緒に行きますか?東都紅蓮西総合病院に。」

「へっ!?」

「春果さんとその人って東都紅蓮西総合病院の場所って知ってますか?」

「大きい病院だから分かると思うけど?うん?知ってるらしいよ。って言うかその脳動静脈奇形の人、春果ハルるんのマネージャーさんなんだ。」

「ほへっ!?春都さん行きましょう!夏希行くよ!緊急手術だ。」

と、蓮華先生は、言いながらココアを飲みきった私の右手を引っ張り、家を出た。

「マネージャーさんと一緒だったらしいから今からその東都紅蓮西総合病院に向かうらしい。」

「分かりました。」

と、蓮華先生は、言いながら車の鍵を開け助手席に私、後部座席に春都兄さんを乗せて東都紅蓮西総合病院に向かった。

私は、車内で病院に電話し、夜勤担当の手術室看護師の渋川美帆美帆ちゃんに、手術室の準備をさせ、島津先生に繋げてもらい、緊急手術の助手を要請をした。勿論承諾してもらった。後、当直麻酔科医の檜原先生に連絡した。

そしたら東都紅蓮西総合病院に着いて、救急外来待合室の席で座っていた2人の元へ走った。

「うわっ!!本物がいる!って言うか、こうしてる場合じゃないや!夏希!ストレッチャー持って来て!」

「はい!!!」

と、私は、ストレッチャー置き場へ向かって走った。

「お名前教えてください。菅谷祐香さんですね。OKです。触診してからですが今から手術室向かいますね。麻酔科医の檜原が来ますので。」

と、蓮華先生が言い、顔をあちこち触ったあとにストレッチャーを持ってきた私と同時に檜原先生が菅谷さんのところに着いた。

「菅谷さん。全身麻酔全麻で行きますね。手術はすぐ終わりますので心配なさらず。」

と、檜原先生が言い、ストレッチャーに菅谷さんに乗ってもらった。

-1時間後-

「菅谷さん。数週間入院してもらって良いですか?代わりのマネージャーさんを前田春果さんにつけてもらうことって出来ますよね?」

「はい。」

「あの!前田春果さん!うちの兄がお世話になってます。」

「もしかして夏希ちゃん?」

「はい。」

「こちらこそお世話になってます。いつも、試合後には、私に、夏希ちゃんの話をするから。ヤキモチ妬くよもぅ!シスコン。」

「シスコンだよ。」

「春果さん!今日、このまま菅谷さんの看病します?」

「えっと〜。菅谷さん大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。」

「手術後の後遺症もなく生活を送れますよ。菅谷さん。」

「ありがとうございます。」

「電話します?事務所に?」

「はい。」

と、菅谷さんは、言うと電話を取り出そうとして、私を見た。

「携帯通信可能ですよ?ここ。」

「へっ!?そうなんですか?」

「はい。」

と、私は、言うと、菅谷さんは、アハハと言い携帯で事務所に電話をかけた。

そして、菅谷さんの代わりのマネージャーが決まり、その人に翌日引き継ぎが行われることとなった。

「さて。私、どうしようかな。」

「あのさ、蓮華先生の家に行かない?母さん居るし。」

「へっ!?」

「結婚しよっか。」

「兄さん?妹の前でプロポーズするのは、どうかと?」

「へっ!?」

「そうですよ?春都さん。」

「どうしよっかなー?まっ……。春都ハルくんだしなぁー?今日お邪魔していいですか?」

「良いですよ。行きます?」

「はい。菅谷さん。じゃ、また明日来ますね。」

「はい。また明日です。」

と、菅谷さんは、右手を振って見送ってくれた。

-数分後-

「ただいまー♪」

「お帰りー。ん?誰?」

「お邪魔します。前田春果です。錦野春都君と真剣交際させて頂いてます。」

「あの前田春果!?」

「本物!?」

「はい。」

「蓮華さんには、先程お世話になりました。」

「はい。」

「春都君。来て言うのもどうかと思うんだけど?」

「どうかしたの?」

「蓮華さんたちの結婚祝賀会結婚パーティーなんだぁ〜。」

「うん。そうだよ?」

「婚姻届出したの今日の昼前なんで。」

「そうなの!?」

「はい。」

「おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

と、私達蓮華先生と私は、言い、キッチンの方へ向かった。

「蓮華。ドーナツ食べる?」

「急にどうしたの?ドーナツって。」

祝賀会パーティーの時に食べたいけど良い?」

「良いわ。」

「さて。主役も戻ってきたわけで。」

と、お義父さんは、言い、コップに淹れられた炭酸飲料を持ち上げ、私達の結婚を祝ってくれた。

「さっ。食べて。春果ちゃんも食べて食べて。」

「あっ。はい。」

「私も炭酸飲みたい。」

と、私は、言い、コップに炭酸飲料を淹れ、蓮華先生の隣で飲み始めた。

「夏希ちゃん。おめでとう♪」

「ありがとうございます。」

「夏希ちゃん。うちの蓮華をこれからもよろしくね。義娘になってくれてありがとう。」

「いえいえ。こちらこそよろしくお願いします。」

「イチゴオレンク食べる?」

「食べるー。」

「あ〜ん。美味しい?」

と、蓮華先生は、食べかけのドーナツを私にあげながら言った。

「美味しい。」

と、私は、モグモグしながら言うと蓮華先生は、ニコニコ笑った。

「イチゴのやつ、夏希が好きそうだなって思ってさ?」

「うん。そうだよ?」

「良かったぁ〜。」

「蓮華さ?」

「どうかしたの?兄貴?」

夏希ちゃんの好物を食べてからあげるのはどうかと思うんだけど?」

「アハハ。食べたかったんだから仕方が無いでしょ?」

柊馬先生お義兄さん。気にしないでください。」

「夏希ちゃんが言うならいいけどさ?」

「蓮華君。」

「あっ。はい。」

「明日頃…また行っていいかな?」

「ん?何処にですか?病院になら迷惑にならなければいつでもどうぞ。でも明日は、脳神経外科外来診察無いですけど良いですか?」

「はい。ありがとう。脳ドック受けようと思って一応予約しているのよ。」

「ん?あっ……はい。ありがとうございます。」

「どうかしたの?蓮華?」

「夏希。テレビ局が来るんだと。」

「えっ!?」

「小児外科と同時進行手術のアレ。」

「あれかぁー。なんで?」

「理事長がテレビ局を呼んだらしい。」

「えっ!?そうなの!?」

「うん。まっ。アメリカでも経験してるし。」

「そうなの?」

「うん。緊張するなぁー。」

「蓮華にも緊張する事あるんだ?」

「あるよ!!あれでもいっつもいっつも手術中は、大緊張してんし。」

「えっ!?リラックスしてるよね?いつも!!」

「アレ演技。アカデミー賞貰えるんじゃないのかってぐらいの名演技だろ?」

と、蓮華先生は、ニヤニヤしながら言った。

「えっ!?」

「俺が緊張してたら夏希達に伝染んだろ?」

「それは、そうだけど。」

「何?不満?」

「不満じゃないよ?凄いなぁー。と思ってさ。」

「それ言うなら春都さんだよ。いつの間にか電話してたし。」

「へっ!?」

「もぅ!汚い!」

「脳動静脈奇形から脳梗塞で亡くなる人がいるんだよ。助かって良かった。」

「菅谷さんを助けてくれてありがとうございます。」

「いえいえ。春果さんもありがとうございます。そうだ。華蓮!」

「なんですか?」

「車で来るんだろ?」

「はい。そのつもりですけど?」

「正面駐車場には、停めるなよ?」

「えっ!?」

「西門駐車場に停めろよ?俺の車の左隣に。」

「なんでですか?」

「正面駐車場は、患者家族専用の駐車場だから。」

「そうですか。分かりました。」

「そう言えば、母さん。」

「どうしたの?春都。」

「俺、結婚すっから。」

「いつ!?」

今季シーズン明けかな。お互い今は、忙しいかなと思うから。ね?」

「はい。」

「そう?じゃあシーズン最終戦迄に婚姻届持って来なさい。署名と押印してあげるから。」

「ありがとう。母さん。明後日ぐらいかな?」

「明後日ぐらいって、3連戦二日目でしょ?福岡で。」

「あっ。そうだったー。じゃあ3連戦終了してすぐ貰ってくるね?」

「分かったわ。準備するわ。」

「そう言えば、夏希ちゃん。」

「はい?」

「夏希ちゃんはさ?」

「はい?」

「付き合って何年だったの?」

「交際期間ですか?」

「うん。」

「中学一年の時から仲良くして貰ってて学校が別々になった高校の時に真剣交際に発展してからなんで10年ですね。」

「長い。私達は、交際期間5ヶ月だよ。」

「夏休み・冬休みだってほぼ一緒にいました。一緒に宿題し、課題も済まし、先に入職して2年目の時に、蓮華はアメリカに研修しに行きましたけどね。」

「でも俺は、俺でずっと夏希が好きだったよ?アメリカにいても。」

と、蓮華先生は、私の顔をじぃ〜っと見つめながら言った。

「蓮華?なんか私の顔に付いてるの?」

「なんも付いてないよ?」

「じゃあなんて私を見つめるの?」

「それはそれでね。」

「またはぶらかす。悪い癖だよー?蓮華。昔は、何もかも私に隠さず言ってくれたのに。」

「キスしたいって言ったら引かれると思ったからはぶらかすの!!」

「引くよ。」

「だよね!だからはぶらかしたんだよ!」

「キスなら良いわよ?」

「母さん!?」

「だってあなた達夫婦よ?」

「でもさ、恥ずかしい!」

「あっ。白衣洗濯に出さなくちゃ。」

「でも白衣足りてるでしょ?明日の分あれば。」

「明日の分あるよ?明後日の分がないだけ。」

「洗濯するの?」

「うん。そうだよ?んじゃね。親父。」

「蓮華。私も脳ドック受けるわよ。明日、10時によね?」

「うん。10時頃だね。つか、脳ドック担当医師の中に俺の名前見つけたの?」

「ええ。ちょうど明日、桐原内科医院うちの看護師足りてるから休み貰って受けたいって言ったらOK貰えたから行くわ。」

「10時頃は、俺手術中だからなぁ〜。夢道先生に頼んで13時に脳ドック外来変わってもらおう。」

「脳ドック外来?」

「あぁうん。そうだよ?脳ドック外来は、脳神経外科医10名の内4名しか担当されないわけ。俺、夢道先生、粕川先生、中ノ瀬先生の4名なんだけど任意で交代OKって言われてるから。金曜と交代してもらおう。」

「良いのか?」

「別に構わないと思うけど?」

「連絡してみる?」

「今からするー。」

と、蓮華先生は、言いながら、連絡した。

「どうって?」

「OKだってさ。」

「蓮華の本当の担当日は?」

「金曜日。土曜日は脳ドック外来無いから。普通の脳神経外科外来は、あっけど。担当医師、俺じゃないけどね。」

「へっ!?」

「外来担当日は、月曜日と水曜日。月曜は、朝。水曜は、昼頃かな。」

「昼頃かぁ。」

「そだよー。やばい。んじゃ、帰るねー。」

「では、おやすみなさい。」

と、私は、言い、蓮華先生を連れて家に帰った。

-翌朝-

「おはよう。蓮ちゃん。」

「なっち。おはよう。ご飯美味しそうだね。」

「蓮ちゃん。お風呂入ってから。もう、私は風呂に入ってるから。蓮ちゃんだけ。」

「分かった。愛してるよ。なっち。」

と、蓮華先生は、朝ごはんを作っている私にキスをし、お風呂に入った。

-数分後-

「行こっか。なっち。」

「うん。制服、洗濯済みのやつ持ってるから。行こう。」

と、私は、言い、家の鍵を締め蓮華先生の運転する車に乗った。

それから3分後病院の駐車場に着いた。

「さて。華蓮も来るし。千暁も来るしよ!」

「急にどうしたの?キレて。桐原先生。」

と、私は、言い、車を降り、洗濯済みの制服を取り更衣室へ向かった。

-数分後-

「桐原先生。今日、実習生のお迎えお願いしても宜しいですか?」

「粕川先生。分かりました。実習生って何名お迎え行けば…。」

「うーんとね。脳神経外科は、1名。消化器外科が1名。計2名ですね。」

「かしこまりました。」

「錦野さん。実習生お迎えお願いしても宜しいですか?」

「はい。あれ?桐原先生?」

「行くよ。夏希。」

と、蓮華先生は、私の右手を引っ張り1階の受け付けに行った。

エレベーターの中で今日退院予定の患者さんの話をしながらだけど。

「桐原先生。おはようございます。お迎え?」

「高槻島先生。おはようございます。お迎えです。」

「そうか。何名かね?」

「2名ですね。消化器外科1名。脳神経外科1名。ですね。」

「分かった。」

「錦野さん。」

「あっ。先生。お久しぶりです。ご無沙汰してます。」

「ここで働いているのね。」

「はい。」

「どう?仕事の方は。」

「疲れますよ?この脳神経外科医の誰かさんのせいで。」

「またぁー!?夏希!!」

「そう言えば、錦野さん。名字名前変わったのね。」

「はい。この脳神経外科医の妻です。」

「そう言えば、車ってどこに停めました?」

「西門駐車場よ?」

「全員?」

「そうよね?」

「はい。」

と、千暁ちゃん以外は、言うと蓮華先生は、華蓮君を見た。

「千暁は、俺が連れてきましたよ?」

「なら良し!」

「あっ。桐原先生。」

「あっ。上田さん。なんか用っすか?」

「CT画像を持ってきました。」

「あっ。あ!ありがとうございます!!忘れてた。」

「もう!」

「アハハ。ありがとうございます。どれどれ?」

と、蓮華先生は、検査技師の上田さんからCT画像を受け取りながら言った。

「おっ。7割、寛解縮小してんじゃん!これなら手術出来る。」

「えっ!?手術!?今日、手術あるのですか?」

「はい。そのつもりですけど?夏希は、手術室看護師なので連れていきますけど。」

「手術室看護師なの!?」

「はい。そうですよ?」

「先生?今日の手術、ナースステーションで見ます?」

「えっ?」

「うちの病院、医療事故を防ぐ為に執り行われる手術は、全て、ビデオカメラで手術室と診療科を繋いでいるんですよ?それでどうかと思いまして。」

「良いのですか?」

「はい。」

「では。ゴホン。永野美鹿ながのみろくさん。桐原華蓮さん。俺に着いてきて。案内するから。」

「あっ。精霊看護大学の実習生の皆さん。私についてきて。」

と、私は、言い、蓮華先生の後について行った。

-数分後-

「んじゃ、また後で。」

「うん。」

と、私は、言い、別れた。

「あのぉ〜錦野さん。」

「ん?何?かな?えっと〜」

「見土山です。」

「見土山さん。何?」

「手術室看護師って聞いたのですが?」

「私は、手術室看護師兼病棟看護師だよ。」

「どういう事ですか?」

「それはね。さっきまで一緒にいたあの脳神経外科医のわがままで、病棟看護師までしてるの。」

「そうなのですか。」

「うん。えっと〜。まぁ。私のスケジュールは、あのホワイトボードの列の一番下の奴。今日は、手術が入ってるから、ちょっと忙しいかな?」

「夏希〜。今日、13時の脳ドック外来看護師よろしくね。」

「あっ。うん。つか。いつも一緒でしょ?」

「だけどさー。寂しいんだよー!!」

「錦野さん。兄は、兄でウサギなんですよ。人間ですが。」

「誰がウサギだよ。華蓮!」

「はいはい。ウサギですよねー。桐原蓮華先生。」

「夏希までー」

と、蓮華先生は、悔し泣きしながら言った。

「桐原先生。」

「はい?」

「この画像見てください。」

と、検査技師の塩万しおよろずさんは、言い、MRA画像を蓮華先生に見せた。

「ふむふむ。なるほど。ここ。脳動静脈奇形になりかけがある。誰?この患者。」

「粕川先生が担当されている久米野さんです。」

「なら粕川先生に見せてよ!!俺に見せないでさ。あっ。そうだ。塩万さん。今日予約されている脳ドック外来の。」

「はい?」

「担当医師なんだけどさ、夢道先生から俺になったから。」

「分かりました。」

「予約患者って、夏希の母親と俺の母親だはずなんで。」

「確認してみますね。」

と、塩万さんは、言い、タブレット端末で脳ドック外来予約を確認した。

「はい。錦野千春様。桐原香澄様ですね。」

「ありがとうございます。夏希ー。」

「何?隣にいるんだけど?」

「わっ!忘れてた。」

「で?何?」

「脳ドック外来診察なんだけど、二人同時に診察室に入れてね?その方が楽。」

「分かった。じゃあそうするね?」

「ありがとう♪」

と、蓮華先生は、言い、病室をうろちょろした。

「蓮華先生〜?どこ行くんですか?私も連れてってくださいよー。」

「菅谷さんとこだよー!行きたかったらついてこいよ。」

「行く行く~♪」

「仲良しですね。」

と、塩万さんは、言い、私達を見送った。

-数分後-

「菅谷さん。おはようございます。」

「おはようございます。桐原先生。」

「昨日は、よく眠れましたか?」

「んーぅんとまぁ。春果ちゃんの新しいマネージャーが誰になるか心配で心配で眠れなくて眠れなくて。」

「アハハ。」

「そう言えば、先程調べてたら再発する恐れがあるだとかなんだとか。」

「菅谷さん。全治してなければの話ですよ?手術で今のところ全治してますよ?」

「そうなのですか!?」

「えぇ。また脳動静脈奇形ができる可能性はあるのですが自分を頼ってくればまた手術で治しますので。」

「ちょっとおトイレ。」

と、私は、言い、病室を出た。

「どうかしたのですかね?」

「さぁ?知らないッスよ?」

と、蓮華先生は、言った。

-その頃の私-

「持ってて良かった。アクロンジェット。」

と、私は、トイレの個室にて呟いた。

アクロンジェットとは、妊娠検査薬。

「よいしょ。」

と、私は、妊娠チェックをすると、陽性反応を示した。

「うそー!?妊娠!?」

と、私は、泣き笑いしながら蓮華先生の所へ戻った。

「どうした?夏希。」

「じゃん!妊娠してるー!」

「えっ!?マジで!?」

と、蓮華先生は、私からアクロンジェットを取り、きちんと見ると陽性反応を確認した。

「つか。お前休むんなら、俺に言う前に師長に言えよ?晩御飯とか朝ごはん、俺が作ってあげっから。」

「ありがとう♪んじゃ、師長に言ってくるね♡」

と、私は、言い、ナースステーションに戻った。

-数分後-

「桐原さん。産休育休取るの?」

「いえ、仕事は、続けたいんですけど。」

「なら、日勤だけにするわね。」

「ありがとうございます。」

「では、桐原先生が当直の場合の専属手術室看護師は、廣野さんに頼むわね。」

「ありがとうございます。」

「さてと。こっちはこっちで忙しくなるわ!桐原先生のところに戻ったら?」

「あっ。はい。」

と、私は、言い、蓮華先生の所へ行った。

-数分後-

「夏希。結局どうすんの?」

「出産までは、日勤だけにしてて、蓮華先生が当直の場合、廣野さんが専属手術室看護師になるからね。」

「重いものあんなら他の人に任せば良いし、なんなら、俺が手空いてる時に手伝うよ?」

「医者の蓮華先生には、手伝わせないよー?」

「何でー!?夫だよー!?」

「夫でもなんでも!!ナースステーションの奥の倉庫に入れるわけにいかないの!!」

「夏希?」

「あっ。千咲〜?」

「どうしたの?ここ病院だよ?」

「知ってるよー!ここで働いてんだから。」

「おぅ!大島さんじゃん。どこか悪いんすか??」

「あっえっと誰?」

「えーっと私の旦那の桐原蓮華。って言うかなんで千咲の苗字分かったの!?」

「勘。っつーか製薬会社の人だよ!」

「あっ。そうなの!?千咲?」

「うん。フランクに来るから一瞬誰かと。」

「ピカ新持ってきたんかなって思って。」

「脳神経外科用のはあったかなー。」

と、千咲は、言いながら、新薬の袋を漁り始めた。

「脳神経外科用じゃなくてさ?脳卒中とかのは有るんすか?」

「脳卒中なら、ピログロテファンをこの前、渡したばかりですよね?在庫切れました?」

「まだあると思うけど?」

「他の新薬無いの?千咲。」

「あっ。ピログロテファンとユリテンフィリアなのですけど?」

「ピログロテファンは、良いけどユリテンフィリアだっけ?」

「はい。」

「それって?」

「三叉神経痛の新薬です。」

「脳神経外科医だけど俺の管轄外なんだよね。三叉神経痛は。」

「そうなの!?」

「うん。俺は脳卒中・脳動静脈奇形・脳腫瘍・原発性悪性リンパ腫の担当。」

「へっ!?多いですね。」

「そうかなー?まっ。投薬治療はしないっちゃしないんだけどね?手術専門だし。」

「でも抗がん剤は、投薬するんじゃんさ?」

「だから。脳腫瘍は、担当だから!」

「そっか。そだね。」

「そう言えば、桐原先生。小児脳腫瘍の手術するんですよね?今日。」

「そうですけど何で知ってるんすか?」

「大抵の手術知ってます。」

「小児脳腫瘍って、珍しいよね。桐原先生が執刀するの。」

「脳腫瘍は、小児でも執刀する!内視鏡手術だけどね。」

「大きくなりますもんね。」

「あぁ。だから内視鏡手術。」

「内視鏡ですかー。」

「うん。あっ。そう言えば、千咲。」

「どうかしたー?」

「私…妊娠したんだ。」

「えっ!?えっ!?ホントに!?おめでとう!」

「うん。ありがとう♪」

「女の子ー?男の子?まさかオトコの娘?」

「ちょっ!?最後のは何!?」

「冗談だよー。」

「産婦人科行ったら?」

「脳ドック外来が終わってから行くね♪」

「分かった。」

と、蓮華先生は、言い、医局に戻った。

-数分後-

「手術室行くよ。」

「うん!」

と、私は、蓮華先生に手を引かれ手術室へ向かった。

その数分後手術が始まり、テレビ撮影と通常撮影をしながらの手術を終え、私達は、昼ごはんを食べていた。

「お疲れ様ー。蓮華。錦野さん。」

「お疲れ様です。桜野先生。」

「お疲れ様〜。佑真。佑真ん所、手術無かったけ?」

「ねぇよ!俺、内科医だ!」

「だったね。」

「お前は、脳神経外科医の癖に診察してっから内科っぽいことしてんだろ!」

「あぁ。何言いてぇのか分からねぇーけど脳ドック外来の事だな。」

「知ってんじゃねぇーか!」

「あっ。もうじき、一時前になるよ?急がないと?」

と、私は、昼ごはんを食べ終え、蓮華先生に伝えた。

「そうか。悪ぃ。んじゃな。佑真。」

と、蓮華先生は、言い、自分の食器を片付けに行った。

「待って。」

と、私は、言い、食器を片付けて蓮華先生のあとをついて行った。

-数分後-

「夏希〜。」

「うん?どうしたの?桐原先生。」

「患者用の椅子あと一つ用意してもらっていい?」

「うん。分かった。」

と、私は、言い、データ入力の前に脳ドック外来診察室に患者用の椅子を追加した。

「夏希。」

「あっ。母さん。こんにちはー!」

「夏希ちゃん。ここの食堂美味しいわね。」

「はい。もうじき、呼ぶので待っててくださいね?」

と、私は、お義母さん達に言い、データ入力をした。

「桐原香澄さん。錦野千春さん。4番診察室へどうぞ。」

「蓮華じゃん。」

「4番診察室は、この部屋です。」

と、私は、言い、脳ドック外来診察室を指さした。

「錦野さん。私が居とくから。一緒に入っていいわよ。」

「ありがとうございます。お願いしますね。」

と、私は、田中さんに伝え、脳ドック外来診察室に入った。

「診察結果………。」

「もったいぶらないで早く言いなさい。」

「二人とも脳に病気無いよ。血管にも問題ないよ。つかもったいぶってねぇし!」

「あの、お義母さん。母さん。私から報告があります!」

「えっ!?」

「何ー?」

「私、妊娠してた。」

「へっ!?」

「おめでとう!!!もう私は、お婆ちゃんかぁ。」

「女の子か男の子は、後でメールしますね。」

「あっ。うん。分かった。じゃあよろしくね。」

「はい。会計はそのまま、総合受付の横にあるんでそこへ行ってくださいね。」

「うん。分かった。」

と、母さん達は、言い、脳ドック外来診察室を出て会計へ向かった。

-数分後-

「夏希。」

「咲帆〜?どうしたの?なんか病気?」

「病気じゃないけど。妊娠四ヶ月だよー?私。つか、夏希こそどうしたの?産婦人科だよ?ここ!」

「ここで働いてるよー。産婦人科この科じゃないけど。って言うか、私も妊娠してんの!5ヶ月だけど。っておめでとうー!妊娠してたんだぁー?」

「男の子だよ。夏希は?」

「まだ分からない。今、妊娠検査薬で妊娠したのを確認したんだもん!」

「そうなのー?」

「うん。」

「私、今から桔梗先生に診てもらうんだ♪」

「良いなぁ〜。私も診てもらおう♪」

「私の後だね。」

「だろうね。」

と、私は、言い、待っていると咲帆の後に呼ばれて診察室に入った。

「あっ。夏希?どうしたの?」

「桔梗先生。これ見てもらって良いですか?」

と、私は、桔梗先生にアクロンジェットを渡すと先生は、私にベッドに横たわるように命令してエコー検査してくれた。

「妊娠5ヶ月で自分が分かるのは、どうかと思うよ?」

「アハハ。忙しくて気づかなかったんですよー!桐原先生のせいで!」

「アハハ。忙しくなるね蓮華アイツなら。」

「アイツ呼ばわりかよー。」

「桐原先生!?なんでここに!?」

「私が呼んだ。」

「うん。呼ばれた。」

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