第二集再公開にあたってのあとがき



 はじめましての方ははじめまして。

 そうではない方はいつもお世話になっています

 吹井賢です。



 ……再公開にあたってあとがきを書こう!と思ったはいいのですが、別に書くことはありません。

 ただ、折角なので一つ裏話をしておきましょう。


 御陵あるまは「創作の名探偵の台詞を引用する」という癖を持っています。

 このキャラ付けが曲者で、というのも、彼女の記憶力の高さを演出する為に一言一句違わずに引用させているのですが、そのせいで、ただのパロディーには収まらなくなってしまっています。

 パロディーは匂わすだけのお楽しみ要素ですが、引用だと出典を明記する必要がありますから……。

 商業出版するなら、まず、このキャラ設定をどうにかしないといけません。


 閑話休題。

 この台詞引用なのですが、ただのお遊び要素だけではなく、存外深く、キャラ設定に関わっていたりします。


 如何にもプライドの高そうな彼女が、何故、他人の言葉の引用などをしているのか。

 彼女の心の奥底には、「フィクションの探偵キャラのように皆に愛されたい」という願望があり、それが表れているのです。

 ……正直、ここまで明かしてしまうと興覚めですが、25話の「本当は漫画の主人公みたいに誰からも愛されて認められたかったのにそれが無理だったから殺人を選んだだけです」という台詞を、自身と同一の存在へ向けていることを踏まえると、なんとなく察せた人もいたのではないかと思います。


 この辺りの、「読者から見るとずっと謎の存在であったキャラクターが終盤で急に身近に感じられるようになる」という演出は、受賞作『破滅の刑死者』でも使っています。

 手癖なんでしょうね。

 あるいは、好きなんでしょうね、そういう話が。


 さて、そんな願いを持つ彼女のことを、他の創作の名探偵と同じように、好きになって頂けたでしょうか?

 好きになって頂けたら嬉しい限りです。



 『僕のホームズ』のお話は一旦終わりですが、気に入っている作品なので、いつか続きを書きたいな、と思っています。

 仮に続きを書かなかったとしても、彼女達が彼女達の人生を一生懸命に生きていることは確かです。

 拙作『破滅の刑死者』と世界観は同じですので、あちらを読みながら、「この頃、アルマ達はどうしているんだろう?」とほんの少しでも想いを馳せて頂ければ、作者にとって、そして恐らくは彼女にとって、最高の喜びです。


 それでは、吹井賢でした。

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