第三章 第6話 泉田をブッコロセ!

 本日。八月九日。

 タイムリミットは九月三十日の日曜日。

 無論、遊んでいるヒマなどあろうはずもない。朝の六時に会議室に集合した。

 メンバーは。

『コロセラの頭脳』鈴村みのり

『ポンピラ』三上哲人

『マッドサイエンティスト(かわいい)』ライチ・リヒテンシュタイン

『ロシアンラストエンペラー』桜梨子・アブラモビッチ

 以上四名。

『頭脳』が部屋の照明を落とし、徹夜で作成したというパワーポイントのスライド資料によるプレゼンテーションを開始する。髪をポニーテールに結びメガネをして、白いブラウスに黒のタイトスカートという姿はキャリアウーマン感が満載だ。

 資料の冒頭には『マルチステージシステム』と書かれていた。

「人間がイラだちを覚える場所ってひとつじゃないと思うんです。当たり前ですけどね。だから複数ステージを作って移動しながらいろんなムカつきを晴らして頂きたいと。全部で四ステージを考えてまして――」

「場所はどうするんだ?」

『ポンピラ』が尋ねる。

「このビルの五階から八階までって空きになってますよね? そこを使っちゃえばよいかなーって。もちろん。バレれば怒られるというリスクはありますが」

 ちなみに『ポンピラ』とはポンコツのチンピラの略である。『二つ名』というよりはただの悪口だ。『チンコツ』と呼ばれるよりはいくらかマシだが。

「ハハハ! そんなもんリスクの内にも入らんな! いままで私がどれだけ危ない橋を渡ってきたと思っている!」

『エンペラー』は身を仰け反らせて豪快に高笑いをした。

『具体的には?』

『(かわいい)』が得意のスマホ話法でみのりにツッコみを入れる。

『まさか考えてないなんて言わないよね?』

「もちろん考えています」

 プレゼン資料を次のページに送った。

『五階 国会ステージ

 六階 デモをする民衆ステージ

 七階 各国首脳ステージ

 八階 自宅ステージ』

 などと書かれている。

「自宅ステージ?」桜梨子さんが疑問を呈する。

「資料によるとクライアントは今から十五年ほど前、三十三歳のときに元女優の高梨祥子さんと結婚。お子さんも十歳の女の子が一人おられます」

 手元に印刷した資料をめくりながら回答する。

「高梨祥子さんといえば現役の頃から気が強い毒舌キャラで有名ですね。想像するに、そうとうな家庭生活に対するストレスを感じているのではないかと」

 桜梨子さんは「流石だなぁ」と首をもたげた。

「どう? 私は素晴らしい案だと思うんだけど。特に反論などなければこれで進めちゃいたいな。ライチはなにかある?」

 頬をパンパンに膨らませた状態で首を横に振った。

「てっちゃんは?」

「『反論』はないけど。『追加』したい」

 三人が俺を注視する。

「ステージをってこと? でももう場所がなくない?」

「あるでしょう。もう一階上が」

 みのりが「わかった!」と手を叩く。

「屋上だ!」

「ザッツライト」

「なるほど! 開始時間は十八時だから、最終ステージを屋上にすれば、星空が見えてイイカンジかもね!」

 桜梨子さんがパチンと指を弾いた。そこまで考えていなかったが「そうなんですよ。それが狙いです。星空最高」とコメントしておいた。

『ステージのテーマは?』

 ライチが鋭い質問をほおりこんでくる。

「屋上全体を巨大な土俵に見立てた『相撲ステージ』だ」

 おお! と桜梨子さんとみのりが同時に声を上げる。

「ちょうど丸い形してるし!」

「そういえばそうですね。それでテツヒトあそこが好きなの?」

「いや別にそういうわけではないけどさ。あそこに土を敷き詰めて小俵で円形つくってやったら面白いかなーと思うんだが……」

「相撲気分を味わってもらうわけだ! いいね! そういえばいつだったか『引退してから人をしばけなくてツラい』とかテレビでホザいてたよ!」

 なかなか好評なようである。珍しいこともあるものだ。さらに提案を続ける。

「それでライチさ。相撲取り型のブッコロイドって作れる?」

 ライチは親指を立てて「よゆう」と呟いた。

『ぽっちゃりしたのをつくればいいんでしょ? エドモントン本田みたいな』

「うん。もちろんぽっちゃりはしていて欲しいんだが、それだけじゃなくて――」

 手でつっぱりのポーズを作りながら言った。

「人間に襲い掛かって欲しいんだよな。できれば相撲を模した動きで」

「――なるほど。相撲気分どころじゃなくて、ヤツを現役復帰させようってわけだな」

 桜梨子さんがアゴに手を当てて呟く。

「その通りです。『セキトロイド』の『ブッコロスモウセラピー』だな」

 隣に座るライチが素早くスマホをいじり、

『やったことないから難しいけど。テツヒトのためにがんばる!』

 と力強い返事を返してくれた。

 頭をそっと撫でてやったらネコのように目を細める。

「それで。これは相談なんだけど――金網を取り払いたいなって。本当に屋上を土俵そのものにしたいっつーか」

 俺の提案を聞いた三人は目ん玉をでんぐり返らせた。

「落ちたら……死ぬよ?」

 みのりが恐怖に震えた目で俺を見る。

「もちろんわかってるんだけどさ。どうやったらヤツに震えるくらいのカタルシスを感じさせることができるかって考えたら。相撲だけじゃなくてプロレスや総合格闘技で命をかけたような試合をやったこともあるアイツにはそうでもしないと――」

 みのりとライチが珍しく怪訝な顔を突き合わせていた。

 それもムリはない。この提案は取り下げようか。と考えていると。

「あのクレイじじいに対抗するにはこっちも狂うしかないか――!」

 桜梨子さんが拳で机を叩く。

「死の恐怖からの解放。これ以上のカタルシスはないからね」

 目を座らせて呟く。……そういった経験がおありなのだろうか。

「ま、なにも本当に命をかけてもらう必要もないと思うよ。恐怖感さえあればさ。命綱をつけてもらうとか、ちょっとおおがかりになっちゃうけどビルの周りを蜘蛛の巣状の網で囲ってもいい。やりたくないって言ったらやらせなくてもいいし。安全レベルを選んでもらうっていう手もあるな」

 いつもの通り。この日も最終的にみんなの意見をまとめてくれるのは桜梨子さんだった。

「じゃあこの方針で行きますか。いやー。二人のおかげではかどったわ!」

「えっ! じゃあ! 俺の意見は採用ってことでいいんですか!」

 桜梨子さんはキョトンとした顔。

「おいおい。ちゃんと私の話聞いてた? 採用だよもちろん」

 思わず立ち上がりガッツポーズを取ってしまう。

「そ、そんなに喜ぶ?」

「だって初めてですもん! 俺の意見が採用されるの!」

「そうだっけ? ごめん。私そんなに却下してたっけか?」

「してますよ!」

 みのりはそれを聞いてクスクスと笑った。それから俺の目を見て、

「良かったね」

 頬をふんわりと緩める。

「う、うん……」

 なぜか顔が熱くなる。そういえば。彼女とはまだ二人でゆっくりしゃべるということができていない。いろいろと話したいような、話したくないようなことがあるのに。

「それではステージごとの具体的な――」

 みのりはプレゼン資料を次のページに送った。


 本当にあっというまに日々が過ぎていった。

 毎日コロセラに通い、ブッコロステージのデザインやギミックの設計をしたり、ブッコロイドのセリフを考えたり、資材の搬入や設置を手伝ったり。まさにてんてこ舞いの忙しさ、屋上や河川敷に行ってサボる時間もなかった。

 ――とはいえ。

「ホラホラ! もう九時だよ! さっさと帰った。帰らないとちんちん握るよ!」

 桜梨子さん曰く『やる気で体力は増えない。どんなに頑張りたくても休みは取るべき』とのことだ。納得できすぎる言葉だ。なぜ日本の経営者がみんな桜梨子さんみたいではないのだろうか。俺もモチロンその言葉に従い帰宅の準備を始める。

(あっ。待てよ。そうだすっかり忘れていた)

 やり残したことがあるのを思い出し、オフィスがある三階から階段を登り四階に向かう。すると。

「こーら!」追いかけてきた桜梨子さんに股間を握られた。

「いえ。ちょっとライチの様子だけ見てから帰ろうと思って」

 技術班のオサであるライチは、四階にある研究所にて新型ブッコロイドの開発を行っていた。さすが天才という集中力で全く部屋から出てこず、今は俺の注文により『セキトロイド』の製造に着手しているらしい。

「ああ。そうか。じゃあお願いするよ。私もちょっと心配してたんだ」

「お任せください。ライチのご機嫌を取らせたら俺の右に出るものはいません」

 差し入れも持ってきてある。完璧だ。


 我が社の研究施設。通称『ライチラボ』。

 部屋の広さはだいたい二十畳くらいだろうか。けっこう広いが大量のわけのわからない金属片が散らばり、でっかいタワーパソコンから伸びたコードのヘビが地を這い回っているため足の踏み場は極めて少ない。いつも薄暗いしあまり居心地がいい空間とは思えないが、この部屋のヌシに言わせるとこれ以上ないくらいに最高の環境であるらしい。

 ライチは部屋の奥にある小さな机に座り、なにやらパソコンを操作するかたわら、俺が貸した相撲のDVDを見ていた。

「ようスーパー頭脳博士。元気?」

 壊れた人形のように首を回転させ、充血して真っ赤になった目をこちらに向けた。

「おいおい。そんなになっちゃったら可愛い顔が代なしだぜ」

 喜んでくれるかなと思ったが反応は芳しくなかった。

「まあ。とりあえずこれでも食べて休もう」

 大きな紙袋からヒロムが持たせてくれた『超お徳用! チロルチョコ666個入りセット』を取り出すと、如実に目に輝きが戻った。

 やっぱりまだまだ男の子なんかよりもお菓子の方が好きなお年頃らしい。

 机の上で次々とチョコレートの包み紙を開き始める。

「あっこんなものも入ってたぞ」

 ヒロムが入れたらしい可愛らしいメッセージカードを手渡すと、さらに目をキラキラさせる。まあ可愛いものだ。

「どうだ? 調子は」

 そう問うとライチは幼女とは思えない深い溜息をついた。

「セキトロイドむずかしすぎ。おすもうキライ」

 しまった。俺としたことが相撲アンチを一人生み出してしまった。相撲協会の北乃山理事長に申し訳がない。

「動画を参考に動きつくろうとおもってるんだけど」

 PC画面に映っている朝光流と白龍の取り組みを指さす。

「パターンが多すぎる。なにをどう使っていいかわかんない」

「ふふふ。その辺り悩んでるだろうと思ってな。いいものを持ってきてやった!」

 紙袋の中からもうひとつのお土産を取り出した。

「死んだ親父が買ってくれたヤツだから大切なもんなんだ。終わったら返してくれよ」

 机の上に我が家伝統の骨董品『スーパーニンテ』と専用ソフトの『スプライトファイターセカンド』を置いた。

 ライチは目を白黒させている。

「このゲームのエドモントン本田。ありゃあすげえぜ」勝手にスーパーニンテのアダプタをコンセントにつなぎながら語る。「一見荒唐無稽な動きに見えてちゃんと相撲の動きのキモを抑えてるんだよなあ。制作陣によっぽど相撲好きなヤツがいたんだろう」

 テレビにもケーブルをつなぎ、電源をセットした。ヘンなガイジン二人が街中でケンカをしているなんとも妙な味わいのオープニング映像が表示される。

「こいつの動きを研究してみたらどうだ。俺が操作してやるからさ」

 椅子に座ってコントローラーを握ると、ライチは無言で俺の右手に抱きついてきた。

 それから小さく「ありがとうウレシイ」とささやく。

 まったく可愛いと言ったらない。頭を撫でてやる。

「ねえ。なんでちょっといなくなってたの」

 いつもの頬を膨らませるワザだが、目は笑っている。

「すまん。おまえにも心配かけたよな」

「いいよ」

 背伸びをして俺のアタマを撫で返してくれた。

「でもね。みのりが心配しすぎて一ミリもげんきなくて、ガチでキショかった」

 そうかえ……。としかコメントすることができない。

「でもそんだけすきなんだろうな。このおんな。とも思った」

 そんなことを口にしながら、両手で俺の頬を挟み込んだ。

「ねえ。テツヒト」

「な、なんだよ」

「一時期はみのりに貸しといてもいいけど。さいごには帰ってこないとダメだよ。そんで結婚してくれないと」

 などとホザくと、俺の口の横辺りに唇を押し付けてきた。

 なんて変なヤツだ。この会社の連中はみんな変わってるけどこいつはレベルが違う。


 ベンチャー企業らしい、圧倒的なフットワークの軽さによりわずか三週間でブッコロステージはほぼ完成。あとはブッコロイドが完成すればひとまず事前準備としては完了となる。そしてそれに関してもこのオレの活躍により峠を越えた感がある。

「おお! でっかいね!」

 土をイヤというほど運んで作成した屋上の巨大土俵にライチ博士の自信作『セキトロイド本田』が運び込まれる。

 見事に結い上げられた大銀杏、謎の歌舞伎風メイクで彩られた侠気にあふれた表情、アフリカ像の錦絵が描かれた化粧回し、そしてトレードマークの真っ赤なふんどし。見事な造形美である。

「やっぱライチは立体造形の才能もあるな」

「フィギュアしょくにんになろうかな」

 ライチは本田のスイッチを入れた。ゲームのものと寸分たがわない動きで四股を踏み始める。桜梨子さんやみのり、技術班の社員さんたちは驚きの声を上げた。

「おお! めっちゃリアルな動き! すごいなー! ライチ天才!」

 ライチはチッチッチッ! と指を振った。

「オリコ。これぐらいでおどろいたらだめ。これからおすもう取ってもらうんだから」

 本田は小さなモーター音を立てながら、実になめらかな動きで土俵にしゃがみ込んだ。

「よし。じゃあひとつ胸を貸してもらおうかな」

 俺は着ていたYシャツのボタンを外すと、後方にほおり投げた。たまたま後ろにいたみのりがそれをキャッチ。さらにスラックスのジッパーを下ろす。

「ちょちょちょ! なにしてんの!?」

 みのりが後ろから俺の肩をつかんだ。

「なにって。相撲を取るに決まってるだろ。彼の性能試験だよ」

「な、なにもハダカにならなくても。ジャージとか」

「肌を露出せずに相撲なんか取れるか」

 ボクサーブリーフ一丁の姿になり、本田の前に立つ。

 ライチが両者の間に立った。どうやら行司役を務めてくれるらしい。いつのまにか制作していた、これまたすごいクオリティーの『軍配団扇』を構えた。

「はっけよーい」

 両者土俵に手を突き――

「ナァコッターナァコッターナァコッタ――」

「掛け声うまっ!」

 ライチの本職の行司さんのものと寸分たがわない掛け声に驚き、俺は立ち合いに失敗。ゲーム中の本田も得意としている、ウルトラマンのごとく体を水平にして頭から突進する技『ハイパー頭突き』をモロに顔面に喰らってしまった。社員たちの歓声やみのりの悲鳴が響く。

(……アレ?)

 さらに本田の代名詞とも言える得意技『百手張り手』が繰り出される。腕が残像を残すほどのスピードの連続で放たれる打撃に俺のカラダは吹き飛ば――

(されない! ぜんぜん!)

 張り手の回転スピード自体はホンモノにも劣らないほどに素晴らしいものなのだが、いかんせん素材が『軽さ』『脆さ』を重視した『ブッコロシリコン』であるため、『重さ』『破壊力』が全くない。

「そおいっ!」

 そしてこの俺のなかなか腰の入った強烈な張り手が本田の顔面に炸裂。

 軽やかなボディを誇る本田は、見事に宙を舞い土俵に落下した。

「突き倒しで三上山の勝ち。かな」

 ギャラリーたちは「オオオ!」とどよめきの声を上げる。

 行司さんはうつむいて小さな手をギュっと握りこんでいた。どうやら本田があっさり負けたことが悔しいらしい。

「気にすんなよライチ。まだ時間はあるんだ。これから改善していけばいいさ」

「そうそう! だいいち強すぎるのも問題じゃない。私的にはこれぐらいの強さでも十分だと思うよ」桜梨子さんもフォローを入れる。

「まあ納得いくまで頑張ろうぜ。個人的には俺ぐらいは倒せるようになって欲しいかな」

 と右手を差し出すとライチはその手を力強く握り返した。

「よし! じゃーあと一ヶ月とちょっと! 頑張っていきましょう!」

 桜梨子さんの檄に社員たちは「おう!」と気合の雄たけびを上げた。


 ――その後も準備は順調に進み。


「桜梨子さーん。顔色がもう悪いなんてもんじゃない。うぐいすパン或いはピッコロ大魔王みたいな色になってますよ。今日はもう帰ったらどうですか?」

「うう。てっちゃん。いや。まだ十六時だし。ここで私が帰るわけには」

「大丈夫。俺とみのりちゃんでなんとかしますから」

「でもぉ」

「いつも俺たちに言ってくれるじゃないですか。休まないと絶対にダメだって。だから今度は俺が……いや俺たちが。社長に言ってあげます。とっとと帰れ! クソババア!」

「てっちゃん……。ありがとう。キミがいてくれてよかった」

「桜梨子さん」

「うん! そうする! よっしゃ! じゃあ今日はホストクラブとゲイバーをハシゴするか! 十七時までにいけば特別料金――」

「寝ろや! この色ボケババア!」


「3・2・1・キュウ! 本番開始!」

『この不潔界の不潔王! 異臭の天才児! 帰ったら即座に風呂に入れって言ってんだよ! くせえぇぇなあ! ベトベトン! めっちゃ鼻がいい小型犬なら死ぬわ!』

「おお! いいねみのりちゃん!」

「なるほど。ヤツの声をブッコロイドの音声に収録するとは。桜梨子さん考えましたね」

「ウチらは経費削減になるし、みのりちゃんにとっては練習にもなるでしょ! クオリティーも全然問題なし! ヘタな声優よりよっぽどいい声してる」

「ま、俺もそれはそうかなと」

『つーか臭いとかはぶっちゃけどうでもいい! 生理痛でイライラしているからなんでもいいから八つ当たりをさせろ!』

「やべえ。なんかすげえムズムズする」

「なんか股間に来るよな」

「見て下さい。ボクなど完全におっ立ってます」

「なんか変なのに目覚めている社員さんがいますけど。アレはちなみにどんなブッコロイドの音声なんですか?」

「自宅でステージで登場する泉田の奥さん。実際に言ったセリフらしいよ」

「マジでか」

『この汚物! 汚物! 汚物! 汚物! 汚物! 汚物! 汚物! 汚物! 汚物!』


「はっけよーい! のこった!」

「いけー本田―!」

「三上も負けるなー!」

「……うお! なんだありゃ!」

「浮いた!?」

「勝者! セキトロイド本田!」

「ついにやった! 本田が三上に勝ったぞー!」

「ライチ! なんだ今のワザは!?」

「『大銀杏クラッシュ』。相手をサバ折りにした体勢からハイジャンプして土俵に叩きつけるちょうキケン技。ついにじっそう」

「やったね! ライチ! てっちゃん」

「ええ。まだ泉田が満足するくらいかどうかは分りませんが」

「大丈夫だよ! あんまり強くて大臣殺しちゃう可能性があっても困る。よし! じゃあ今日は記念に飲みにでも行くか!」

「おおおおーーー!」

「さすが社長! 太っ腹!」

「割り勘だよ! バカども!」


 ――そしてついに。

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