エピローグ 6/26

独白

 あの日の私は自暴自棄になっていた。


 予想していたはずなのに、母の口から離婚を知らされると想像以上に動揺した。


 電話を切ったあとも考えがまとまらなくて、ぼーっと窓の外を見ていたと思う。


 彼が現れたのはそのときだった。


 付き合ってほしい、と提案したのは思いつきだ。

 冗談だと笑われるか、もしくはこれ幸いと飛びついてくるかだと予想していた。


 どちらであっても構わない。


 それで私は男子に対して心底幻滅することができる。

 恋愛に対する理想を捨てることができる。


 そう思っていた。


 結果はそのどちらでもなく、私は彼と奇妙な契約を結ぶことになった。


 彼の言動のせいで私は幻滅しそこねたのである。


 その後、私の理想はもう一度否定された。


 先輩の言葉と彼の浮気という、考えうる限り最悪の組み合わせによって、私の理想は否定された。


 でも幻想を否定したのが彼なら、肯定したのも彼だ。

 期待させて、落胆させて、そして今度もまた私に希望をもたせている。


 つまり全部、彼が悪い。


 なにもかも彼が悪いのだから、その責任は取ってもらわないと困る。

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