第11話 はじめての任務
星の夜亭の女将さんに今日は働くの?と笑われながら見送られて、ギルドにきていた。働かないと食べれないし、泊まれない。なけなしの貯金なんかあっという間に尽きてしまう。
先日用意したものたちに加えて、女将さん特製のサンドイッチを持って、少し遠出しても大丈夫ぐらいの用意をしてきた。
「なにがいいかなー」
「なんで俺に聞く」
「教えてくれるかと思って…」
見覚えのある姿シモンに話しかけると露骨に嫌そうな顔をしてくれた。私、小心者だからそれ辛い。
「カコはスキル持ちなんだろ?どこでもいけるだろ」
「スキルあっても魔力がない…」
「あぁ、それでそんなに武器を持ってるのか」
スキルがあることに対して羨望と尊敬の眼差しをしたのも一瞬で消え去って、とっても残念なやつを見る目になった。
昨日も聞いて歩いてみたが魔力が全くない人はいないらしい。普通は少なくとも1か2はある、と言われた。
火の
むしろオモチャに魔力を通して子どもがきゃっきゃ遊んでる姿を見てより凹んだ。
「魔法が必須な物作りや調合を避けて、討伐か採取を受けたら?」
「ありがとう、そういう言葉を待ってた」
「そうかよ」
「そうだよ、ありがとう。助かったよ」
お礼を言うとちょっと他所を向いたシモンにさっさと行けよと言われた。照れてるみたいでちょっと可愛い、しっかり者のマリカに比べてシモンは見た目相応の態度を取るから面白い。でもパーティ組むなら断然マリカがいい。
「任務はフラワーマッドの討伐、15体。ラビットキャットの討伐20体、ポッポット30体」
3つの任務を掛け持ちで行くことにした。このぐらいならすぐ終わるだろうと思っていったのだが、先日『とうろくか』にいた澱んだ目のお兄さんが許可をしてあげてと一言言うまで受付のお姉さんは渋っていた。
お兄さんの名札にはユーゴと書いてあった、何か聞いたら答えてくれそうな気がする。今日帰ってきたら話しかけよう。
「おい!」
「はい」
悲しき社畜精神、おい!と言われても良い子のお返事で返事をしてしまう悪い癖だ。これが続くとどんどん上司は調子に乗って有り得ないことを要求してくるようになる。癖になる前にその人から離れるか、物理的解決を図らないとまた死んじゃう。
「ゴブリンリーダーを一突きで倒したルーキーはお前か?」
大柄で大剣を背負っている赤髪の男性に話しかけられていた。なんか如何にも怖い人で嫌になる。なんでこんな人に目をつけられることになっちゃったんだろう。
「ゴブリンリーダーは倒したけど、ルーキーって名前じゃないよ。それじゃ、今日は任務三つあるから」
常識なしで認識されてるならこのぐらい言って逃亡しても良いだろう。忙しいんです!をアピールをしながら逃亡した。
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