第7話 隠ぺいはすぐに暴かれる
「さてさて、君も売ってくれるのかな?今日、シモンとマリカと組んでいったのかい?」
「売却で、私は薬草も。森でたまたま彼らと会いまして」
「なるほど、いや、同年代の冒険者仲間いいじゃないか!」
薬草(もうすでに何枚あるかよくわからない)、革の袋から溢れ始めている魔石を手渡した。
『ぷるぷる(青)』と『ダークバード』の魔石に混ぜて、『ゴブリンリーダー』の魔石も入れておいた。
単品で出したら大騒ぎされるに違いない。
目立ちたくないからしれっとそのまま買い取ってもらえると嬉しい。
「おーおー、こんなに溜め込んで。ここじゃなかったら値切りされるから、気をつけろよ!」
「すみません」
薬草の枚数を数えて、魔石を青と黒に仕分けて数えて……やっぱりばれたみたいだ。
モスグリーンの石を見て、店主のキースが固まっている。
「これ、『ゴブリンリーダー』のだろ」
「あー、はい」
「そうか、シモンとマリカを助けてくれてありがとうな。これは下の『ほうこく・ていしゅつ』に持っていくといい。今日、シモンとマリカに同行して倒したことを言えば、これにかかっている報奨金がもらえるはずだ。ここで普通に魔石を売るより高い上に、明日任務を受けるランク3のパーティもいないものを探すことにならずに済むだろ?」
「わかりました」
「シモン、付いていけよ」
「わかってる」
「そうかそうか」
目立ちたくないという理由でこっそり隠そうとしていたのが恥ずかしくなるぐらい店主はまっとうだった。
「合計で金貨1枚銀貨5枚銅貨7枚、それと端数で受け取れない魔石を返すぞ」
「ありがとうございます」
革の袋にそんなに入っていたとはびっくりだった。
手元に帰ってきた青い魔石を革の袋に戻した。
さっき魔石は装備品にもなるといっていたからそっちでも聞いてみたらいいかもしれない。
売却のお金も使って今のただの青と白の麻の服よりいい装備を作ってもらおう。
「それじゃ、また売りに来いよ!」
「キース、またな!」
「ありがとうございました」
良心的なお店を後にした私は『ほうこく・ていしゅつ』の受付にいくことになった。
「え?」
「今日、森でこれを倒して。上の店主にこっちに持って行きなさいと」
コミュ障を遺憾なく発揮した私は受付のお姉さんにうさん臭いものをみるかのような目で見られた。
くせのある栗毛が可愛らしく跳ねているお姉さんはこのギルドのアイドル的受付嬢だと待っている別の冒険者の会話から盗み聞いた。
だから美形の人がそういう顔するのやめて、私、小心者だからダメージが大きいよ。
「シオリ、今日、俺たちがこれ《ゴブリンリーダー》と遭遇したんだ。それで、マリカが悲鳴を上げて丁度通りかかったカコが助けてくれたんだ。さっき、報告すればよかったんだけど、まさかゴブリンがそんな大事になってるって、知らなくて。ごめんな」
さっきまでのシモン君はどこにいったんだ。
上目遣いを使って、手は合掌のポーズ。
明らかにお願いするのに自分の魅力解ってる人間がやるポーズだ。
イケメン怖!!
でもそのシモンのおかげで手続きはスムーズに進んだ。
「状況を整理すると、シモン・マリカパーティがゴブリンの集団に遭遇。その際に近くにいたカコさんが手助けし、ゴブリンのグループを討伐。で、よろしいでしょうか?」
「そうだ。カコが槍で他のゴブリンと一緒に一突きで倒した」
シモンの言葉に反応して受付のシオリ嬢がまた不審者を見るような目つきで私を見ていた。
「カコさんはランク1ですよね?」
「え?はい。さっき登録しました」
「レベルはいくつですか?」
「14ですが、スキル槍術を持ってます」
「あぁ、なるほど。スキルは強いですね」
咄嗟の言い訳でステータスにあった槍術を言い訳にしたら、それまでの不審者を見る目だった目が一気に変化した。
どちらかというと尊敬が込められている。
さきほどの侮蔑の眼差しから大きな進歩だ。
反応からして、スキルもたくさんあるのは普通でなさそうな気がしてきたからしばらくは剣と槍を中心にした方がいいかもしれない。
あとでシモンに聞いてみよう。
「了解しました。次は何か異変があったらはじめの報告の時点で報告をお願いします」
「はーい。ありがとうな!」
「もう、シモン!気を付けなさいよ!」
ランク1の駆け出しにしてはシモンがギルドの人たちと随分親しい気がするが、年齢も見た目通りでなかったし、どこかで何かからくりがあるのだろう。
勝手にそう納得して、マリカと合流して、市場に向かった
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