第5話 ギルドに来てみた

シモンに脳筋と言われながらも、2人の任務に随行させてもらった。

道の途中で出てくる魔物は小さなナイフの投てきと、新しく手に入った銅の剣らしきもので退治して順調に進んでいた。


二人の目的はキノコの採取で、2人は冒険者らしい。


「冒険者知らないとか」


文句を言いながらも親切なシモンとマリカは冒険者について教えてくれた。


冒険者は自分で受ける仕事を選んで任務に応じた報酬を得る人たちであり、冒険者ギルドに所属する。

冒険者は5階級あり、2人は駆け出しの1階級だという。

レベル5から冒険者になる資格がでるため、ギルド登録したばかりと2人は胸をはる。



「そのレベルなら絶対冒険者か、兵士だと思うんだけどな」

「頭でも打ったのか、中身みんな抜けちゃったんだよね」



まさか間違っても本当のことを言えないために曖昧に笑っておく。


よく考えれば、この私が憑りついているといっていいのかわからないが、この身体の持ち主は一体どうしたんだろう。

なんで山奥で一人で倒れていることになったのかがさっぱりわからない。



「MPもないですし、何か呪いにあったのかもしれませんわね」

「デミヒューマンだしな、俺らと同じぐらいの見た目ってことは20近いんじゃねえの?」



衝撃的だった。


確かに私の転生前は20後半だったが、目の前にいる彼らはどう見積もっても15にはならなそうだ。

それなのに、同じぐらいだから20歳と言っている。



「ありましたわ」

「やったな!」

「これが依頼品で間違いないわ」

「ギルドまで帰ろうぜ」



真っ青な毒々しい色合いのキノコをかご一杯に詰めたマリカの笑顔は眩しい。

最も、笑顔の先は毒々しいキノコだけど。


ギルドに戻るという彼らについて、街へいけることになった。


木製の門に瓦の屋根、どこか漂う日本の空気があった。これは予想外だ。


ステータスで見ていた文字がカタカナだったからか、勝手に私は西洋風の街並みをイメージしていた。


シモンとマリカの見た目なんて、ザ・西洋人だ。

エルフというだけあって、耳が尖っている辺りはファンタジーだが。



「どうだ?」

「なんとなく懐かしいような気がするかも」

「この街から出発して、どっかで頭の中身なくしたんだろうな」

「シモン!」

「なんだよ!」

「言い方がよろしくありませんわ!」



お陰様で嘘をつかずに私の都合のいいように話が転がっていったのは有難かった。


瓜二つなのはエルフの見分けがつかない私のせいかと思っていたら二人は双子らしい。

息がぴったりの掛け合いは長年の連れ添いならではで、あったばかりの他人の私が合いの手を入れる間すらない。



「ここだ」



堂々としたお寺のような形をしたギルドの入り口にはひらがなで大きく『ぎるど』と書いてあった。

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