23.
『利香先輩から手作りのネックレス貰っちゃいました!』
四ツ木先輩にラインを送る。誰かに自慢したくて、仕方が無かった。誰かというか、俺の気持ちを知っている人にというか。四ツ木先輩しか居ない訳だが。
『あーあいつ趣味でいろいろ作ってるもんな』
少しの時間を空けて返信があった。むう、やはり趣味の件は知っているか。流石幼馴染である。
『色々ある中から選ばせて貰ったんですけど、その時の利香先輩の笑顔が!』
『もー素敵で眩しくて思わず好きってのどまで出かかりましたよ!』
エクスクラメーションマークが一つじゃ足りないくらいのこの俺の気持ち、伝われ!
『そのままいっちゃえばよかったのにw』
『嫌ですよう、折角のデートの最中に振られたら泣いて帰りますよ私』
『そしたらパフェおごってやるから』
『そういえば私の機嫌が直ると思って!』
『ははは』
全くこの先輩は……。唇が自然と尖る。だけど、四ツ木先輩にこうして吐き出せるおかげで告白せずに済んでいるので、感謝もしていた。
『で、ほんとに告白はしないのか?』
唐突に、現実と書いた紙を眼前に突き付けられた気分だった。
出来る事なら告白したい。そしてオーケイを貰っていちゃいちゃらぶらぶしたい!
だが、現実問題、オーケイはきっと貰えない。そうしたら同じ部に在籍する事は、俺にとっては苦痛だし、利香先輩にとっても良い環境とはいえないだろう。
引いたり、いい触らしたりしない事は信じている、信じられる。けれど……壁に耳あり障子にメアリー。いや間違えた目あり、だ。変な噂が立つのも困る。
返信が出来ないで居る内に、また、四ツ木先輩からメッセージが来た。
『ま、無理にしろとはいわないけど』
『告白は、したいんですよ。でも、タイミングとか、ね?』
振られて退部するにしても、今は駄目だ。文化祭での舞台は、裏方とはいえ俺も頭数に入れられている。だから、告白するなら最短でも文化祭での上演後だ。
その事を四ツ木先輩に伝えると、
『文化祭の打ち上げが次の日だから、そのあとにでも告白すれば?』
と返信が来た。
そうだ、二日間ある文化祭の、二日目の夜は各クラスでの打ち上げがあるから、演劇部の打ち上げはその次の日にやるのだ。丁度、土日に文化祭があるから、月曜火曜は振替で休みだし。確か午後からカラオケに集まる予定になっている。
打ち上げのあと、利香先輩を駅まで送って、そして告白……悪くないのではないか。でもそうするには、いい方が悪いが四ツ木先輩が邪魔だ。
その旨を送ると、
『お前が本気で告白するなら、その時俺は離れて見守っててやるよ』
『振られたら、そのままパフェですね』
『そうだな』
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