20.
駅に着き、ホームから移動して改札を抜けると、そこには女神が居た。淡い水色のワンピースが眩しい。
「優衣ちゃん」
手を振ってくれる利香先輩に駆け寄った。
「利香先輩! おはようございます」
「おはよう。優衣ちゃんはスカート着ないの? 映画の時もそんな感じの服だったよね」
小首を傾げる利香先輩がso cute!
「私動き易いのが好きなんですよ。スカートって落ち着かなくて。利香先輩はスカート似合いますよね! 素敵です」
「ありがとう」
照れ臭そうに笑う利香先輩もso cute!
眼福眼福。
「じゃあ行こっか」
「はい!」
利香先輩に促されて、駅を出た。そして駅の近くにある小さなデパートへ向かう。本屋と百円均一、それから服屋に用があるらしい。
利香先輩は読書が趣味。手芸が趣味。服屋は夏物の遅いセールがあるんだとか。
読書と手芸が趣味なんて、ちょっと意外だった。利香先輩は演劇を見るのも演るのも好きで、行動力があって、快活なイメージだったので、インドアな趣味を持っているとは思わなかった。ギャップ萌えである。
「最近レジンにハマっててね、型とか、中に入れる物とか、百均で結構揃っちゃうんだよ」
そういって笑う利香先輩が綺麗で見惚れてしまう。
「服は嵩張るから最後に見よう。先ずは二階の百均に行って、次に本屋かな」
「そうですね、そうしましょう」
はっと我に返って、頷いた。
利香先輩の住む隣町は、俺の住む場所より少し都会だ。デパートなんて、俺の住む場所には無い。必要があれば隣町にも来るが、隣町は広く大抵父の車で来る為に駅前は活動範囲外だった。だからこのデパートに来た事は殆ど無く、何だか新鮮だった。そして隣には利香先輩。どきどきとわくわくで胸がいっぱいだ。
百均のコーナーは、デパートの一角にしては広い様に思った。もっと大きな街の大きなデパートならワンフロア丸々百均だったりするのだろうが、この辺りにしては十分な広さだと思う。利香先輩の先導でレジンとやらのコーナーに行くと、細々きらきらした物が沢山あった。
「ひえー、これ全部レジンとやらの材料ですか」
「レジンに限らず、ハンドクラフトの材料だよ。チャームとかもあって、組み合わせたりするの。レジンに限るとこの辺りかな」
そういって利香先輩が指差したところを見ると、シリコンの型だとか、押し花だとかがあった。利香先輩は早速それらを手に取って、見比べ、選び始めた。俺はそんな利香先輩を眺める。
「出来たら、見せてくださいね」
「実は今日、今まで作った物を少し持って来てるの。あとで何かあげるね」
「良いんですか?」
「今日付き合って貰ったお礼」
「わーい!」
どんな物だろう。楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます