15.

 そうして迎えた日曜日。約束した時間に隣町を経由して映画館のある街に停まる電車に俺は乗った。ああ、どきどきする。

 服装はカジュアルな、ちょっとボーイッシュな物だ。制服は仕方が無くスカートを履くが、プライベートでまで履く気にはなれなかった。

 駅のホームに電車が滑り込む。どこから先輩が乗って来るか分からなくて取り敢えず先頭車両のデッキ部分に乗っていたが、なんと利香先輩がそこに乗り込んで来た。運命ではなかろうか。

「おはようございます!」

「あ、おはよう優依ちゃん。どこに居るか、ラインしようかと思ったら、ここだったんだね」

 今日も利香先輩の微笑みが眩しい。天使か。女神か。

「私もおんなじ事考えてました! 運命ですね」

 おっと口が滑った。えへえへ笑って照れを誤魔化す。利香先輩は、ふふっと上品に笑った。やはり天使か。女神か。兎に角正義である。

 利香先輩は淡いピンクのフレアスカートを履いていた。とても良く似合っている。

 その事を伝えると、利香先輩は照れ臭そうに笑って、ありがとう、といった。幸せのあまり昇天しそうになる。

 六両編成の内一両目だけ確認するが座席が空いてなかったので、デッキで二人、立って談笑しながら時間を潰した。利香先輩と話しているとあっという間で、やっぱり俺はこの人が好きなのかもしれないと、そう思って切なくなった。

 目的の駅に着く。映画館は駅に併設されていて、五分もかからず行ける。映画の時間までは一時間以上あった。

「予定通り先にお昼食べましょうか。何が食べたいですか」

「優衣ちゃんは何か食べたい物無いの?」

 小首を傾げる利香先輩が可愛くて今日も生きるのがつらい。

「付き合って貰ってるのは私なんだから、お昼は利香先輩に合わせますよ」

「うーん……じゃあ、どこか喫茶店に入りましょう。映画までの時間も結構あるし、その方がゆっくり出来て良いよね」

「はい!」

 近くの操作盤で喫茶店を検索して向かう。俺はサンドイッチとオレンジジュース、利香先輩はカルボナーラとアイスティーを頼んだ。更に食後にそれぞれケーキを注文する。

 電車の中で二十分程話したあとだというのに話題は尽きなくて、あっという間に映画の時間が迫っていた。

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